美容室の客単価を上げる方法|下がる理由や施策をご紹介

美容室
監修者

合同会社ドリームアップ 執行役員

福島県立安積高等学校、法政大学法学部法律学科を卒業。大学在学中にWebマーケティング会社にて月間200万PV超えの大手メディアのディレクター、海外でのWebメディア立ち上げののち売却を経て学生起業。

現在は合同会社ドリームアップの執行役員、及びCoordy株式会社の代表取締役社長を務め、10年間の業界経験を活かし、数々のプライム上場企業のWebマーケ担当として、SEO対策・コンテンツ制作を中心に支援を継続している。

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合同会社ドリームアップでは、Webマーケティング代行サービス「アナグマ」、コンテンツ制作代行サービス「コンテンツ職人」、SNS採用代行サービス「SNS採用課」を通し、常に新たな支援先にサービスを提供しています。

美容室の経営者にとって、客単価を上げることは売上向上の大きな鍵となります。実際、厚生労働省がまとめた調査でも多くの美容業経営者が「客単価の低下」に悩んでいると報告されています。

本記事では、美容室の客単価に注目すべき理由や、客単価を把握するための指標、客単価が下がる主な要因、そして客単価を引き上げる具体的な施策について解説します。

目次
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客単価に注目する理由

計算

客単価に注目することで得られるメリットとして、主に次の3点が挙げられます。

  • 売上の予測が立てやすくなる
  • メニューの見直しにつながる
  • 戦略の考案に役立つ

売上の予測が立てやすくなる

客単価を継続的に記録すれば、来月以降の売上を高精度でシミュレーションできます。たとえば「先月の客単価8,000円×平均来店数350人=月商280万円」という算式をベースに、キャンペーンで+1,000円引き上げた場合の売上増加額も瞬時に試算できます。

さらに、四半期単位で推移をグラフ化すれば繁忙期と閑散期の差が可視化され、人員配置や広告投下タイミングの最適化も容易です。こうして資材仕入れや広告費を無理なく配分でき、資金繰りに余裕が生まれ、数字に基づく計画は融資相談や補助金申請の説得材料になります。

メニューの見直しにつながる

客単価の増減はメニュー構成が市場ニーズとズレていないかを示す生きた指標です。低下が続く場合は、値ごろ感の高いクーポンや安価メニューの比率が肥大化していないかを確認し、人気が落ちた施術を整理しつつ単価と満足度を両立する新セットを投入する判断もできるでしょう。

一方、客単価が上振れしている期間は高価格帯への需要が顕在化しているサインです。トレンド薬剤を使ったプレミアムカラーなどを追加すれば機会損失を防ぎ利益率も改善できます。さらにPOSデータで滞在時間を分析し、利益が低い施術を再設計すれば効率も上がります。

戦略の考案に役立つ

客単価を月次・年次で可視化すれば、繁忙期と閑散期、サービス別の売れ筋が鮮明になり、長期の経営戦略に活用できます。例えば、夏場にカラーやスパで単価が伸びるなら販促費を集中投入し、スタッフ配置も増強するなど攻めの手を打てます。

逆に単価が落ちこむ時期は時短メニューや回数券を訴求し、来店頻度を底上げして売上を平準化しましょう。このように客単価の推移は自店の強みと課題を示す羅針盤となり、競合が多いエリアでも差別化戦略を立てる軸になります。融資や補助金申請の資料に使え、資金調達にも役立ちます。

客単価を把握するために重要な3つの指標

ポイント

美容室の売上は「来店客数×客単価」で決まります。そのため、客単価を正しく把握するには次の3つの数値を把握することが重要です。

  • 売上
  • 来店数
  • 平均単価

売上

売上とは、一定期間内におけるサロンの総売上高のことです。客単価を計算する際の分子となる基本の指標で、期間内にサービスや商品で得た合計金額を指します。

売上を把握することで、客単価や集客数との関係から経営状況を分析できます。例えば、施術サービスから得た収入と店販商品の売上を合算した金額が月間売上となります。

来店数

来店数(客数)とは、同じ期間内にサロンを利用したお客様の人数です。客単価の計算では売上をこの来店数で割ります。

月ごとの延べ来店人数を正確に把握することで、客単価の変動要因をより明確に分析することができます。なお、1人の顧客が期間中に複数回来店した場合は、その回数分をカウントする点にも注意しましょう。

平均単価

平均単価(客単価)は、1人の顧客が1回の来店で支払う平均金額を指します。計算式は「客単価=売上÷来店数」です。

平均単価そのものを追跡することで、施策の効果や顧客の購買行動の傾向をつかむことができます。平均単価の推移を見れば、サービスや商品に対する顧客の反応を知る手がかりにもなります。

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客単価が下がる要因

悩む男性

次に、客単価が下がってしまう主な原因を確認しましょう。客単価低下の背景には、メニュー構成や顧客の購買行動の変化など、いくつかのパターンがあります。

  • 安いメニューばかりになっている
  • オプションや物販の利用が少ない
  • 来店頻度や購買導線の変化が起こっている

安いメニューばかりになっている

提供メニューがお手頃価格のものばかりになると、どうしても客単価は下がります。お客様のニーズが低価格帯の商品やサービスに集中すると、結果として平均単価が下がってしまいます。

高価格帯のメニューが少ない場合や、安価なクーポンばかり提供している場合も注意が必要です。

オプションや物販の利用が少ない

メインメニューに加えて提供されるトリートメント等のオプションや、シャンプーなど店販商品の購入が少ないと客単価は下がります。

オプションメニューや物販は一つ一つの金額は低めでも、追加購入があるかないかで客単価に大きな差が出ます。そのため、こうした付帯販売が減少すると平均単価も伸び悩むのです。

来店頻度や購買導線の変化が起こっている

顧客の来店頻度や購買行動の変化も客単価低下の一因となりえます。例えば、来店ペースが落ちたり、「カットだけ」など必要最低限のメニューしか利用しなくなった場合、一人当たりの利用額が減少します。

また、オンラインで商品を購入するようになるなど購買導線が変われば、店頭での追加購入が減り客単価に影響します。

単価を引き上げるための施策

レジ

では、客単価を引き上げるためにどのような施策が有効なのでしょうか。ここでは、美容室で実践できる具体的な改善策を紹介します。

  • 高価格帯のメニューにつながる動線を設計する
  • 商品の価格帯を見直す
  • カウンセリングのスキルを高める
  • 提案方法を考える
  • 期間限定メニューなどを導入する
  • 追加購入を促す
  • スタッフのスキルを向上させる
  • 顧客との関係を築く

高価格帯のメニューにつながる動線を設計する

お客様が最初から上位プランを選びやすいように、カウンセリングからメニュー提案、会計までの導線を一貫して設計することが重要です。例えば、カット単品ではなくトリートメントやヘッドスパを組み合わせたセットを標準選択肢として提示し、メニュー表や予約ページの上部に配置します。

さらに、施術前に仕上がりイメージをタブレットで見せる、香りや使用薬剤のグレードを同時に体験してもらうなど、体感的な価値を先に訴求することで、高価格帯への心理的ハードルを下げ、自然なアップセルを実現し、客単価の底上げにつながります。

商品の価格帯を見直す

自店のメニューや商品価格は数か月ごとに棚卸しを行い、施術時間や材料費、提供価値と照らし合わせて適正かを検証します。競合より明らかに低い場合、安さが品質への不安を招く恐れもあるため、材料や技術を一段上げつつ段階的に値上げしましょう。

値上げ理由を店内ポップやSNSで丁寧に説明し、グレードアップ後の仕上がり画像を提示すれば、お客様も価格と価値の変化を受け入れやすくなります。

カウンセリングのスキルを高める

客単価の基盤は信頼です。スタッフは施術前に髪の悩みや生活習慣を丁寧にヒアリングし、言語化されていない潜在課題を質問で引き出します。

例えば「朝のスタイリング時間は?」と聞けば、時短ニーズに応じたトリートメントを提案できます。共感を示しながらタブレットで仕上がりイメージを共有することで提案の説得力が高まり、追加メニューの成約率が向上します。

提案方法を考える

提案はタイミングと伝え方が要です。カウンセリングで得た情報を整理し、施術に入る直前に具体的なベネフィットと価格をセットで提示しましょう。

「今ならカラー後の退色を抑える集中ケアをプラスするとツヤが2週間長持ちします」と効果を数字で示すと納得感が増します。選択権をお客様に委ねつつ、断られても笑顔で代替案を示す姿勢がリピートを呼び、結果として客単価を底上げします。

期間限定メニューなどを導入する

定期的に期間限定のメニューや商品を導入することも効果的です。人は「今だけ」「数量限定」といった限定感に弱く、逃したくない心理から購買意欲が高まります。

期間限定を打ち出すことで普段基本メニューしか利用しない顧客や商品を買わない顧客へ、限定オプションメニューや限定商品として案内しやすい点もメリットです。さらに、季節限定の特別メニューを設ければ話題性が生まれ、新規顧客の興味を引く効果も期待できます。

追加購入を促す

追加購入を促すには、施術前のカウンセリングで潜在的な悩みを掘り下げ、その解決策として店販商品やトリートメントを自然に提案する流れが効果的です。鏡の前に使用見本を置き、香りや質感を体験してもらうことで購買意欲が高まります。

さらに施術後にはビフォーアフターの写真を見せて仕上がりを実感させ、ホームケア商材を紹介すれば、次回来店までの美しさを保ちたい気持ちに訴求できます。初回限定でセット割引を設けると背中を押しやすく、施術内容と連動したリーフレットを手渡すと記憶に残り追加購入につながるでしょう。

スタッフのスキルを向上させる

客単価アップの近道は結局のところ顧客満足度の向上です。そのためにはスタッフ一人ひとりの技術力や接客スキルの向上が不可欠です。

高価格なメニューや商品を用意しても、スタッフの技術や商品知識が伴わなければお客様の購買意欲は高まりません。まずは教育や研修を通じて、質の高いサービス提供ができる体制を整えましょう。

顧客との関係を築く

お客様との信頼関係を築くことも重要なポイントです。誰しも信頼できる相手からサービスを受けたいものです。信頼関係ができていない状態で高額なメニューや追加提案をしてしまうと、不信感を招いてお客様を失ってしまう可能性があります。

まずは身だしなみを整え、お客様の話に耳を傾けることで満足度と信頼を得ましょう。信頼関係が深まれば、提案に対してお客様も前向きに検討してくれるようになります。

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高単価なメニューを設置する際のポイント

施術中

最後に、高単価なメニューを新たに設置する際に押さえておきたいポイントを紹介します。ただ値段を上げるだけでなく、お客様に選んでもらえる工夫を凝らしましょう。

  • 付加価値が伝わるようにする
  • インパクトのあるメニュー名をつける
  • より高級なプランも設置する
  • 月額で利用できるポイントを作成する

付加価値が伝わるようにする

高価格メニューの価値を正しく伝えるには、使用薬剤の品質や時間をかけた丁寧な施術工程、専門資格を持つスタッフが担当する安心感など具体的な優位性を言語化し、施術前に体感要素を交えて提示することが欠かせません。さらにアロマや照明を変えた個室空間など非日常の演出を加え、五感に訴える体験価値を強調しましょう。

仕上がり写真や触感デモで効果を可視化し、価格差が技術と結果に直結することを示せば納得感が高まり、口コミ経由の新規獲得とリピート来店の両方に波及します。信頼と期待が重なることで高価格帯への選択が自然な流れとなります。

インパクトのあるメニュー名をつける

高単価メニューを導入する際は、メニュー名にも工夫を凝らしましょう。例えば、高級感や特別感が伝わるインパクトのある名前を付けることで、お客様の興味を引きやすくなります。

名前ひとつで印象は大きく変わるため、ターゲット層に響く魅力的なネーミングで高価格メニューの存在感を高めましょう。例えば「プレミアム〇〇コース」や「極上△△プラン」など、名称から魅力が伝わる表現を工夫してみましょう。

より高級なプランも設置する

売上の上限をさらに押し上げるには、一部の顧客に向けたプレミアムコースを準備することも有効です。施術内容や使用薬剤を最上級で統一し、専用ブースや指名スタイリスト、ドリンクサービスなどの特典を付与すれば、特別感が強調されます。

さらに回数券や月額制のVIPプランを組み合わせることで継続利用を促進し、安定的に客単価を確保できます。加えて、季節限定トリートメントやフォト撮影サービスを盛り込み、SNS映えを意識した付加価値を提供すれば、価格以上の体験価値を感じてもらえ、口コミによる新規獲得も期待できます。

月額で利用できるポイントを作成する

月額固定料金でサービスを利用できるプランを導入すれば、お客様に特別感を与えつつ固定客化を促すことができます。

例えば、毎月定額を支払う代わりに施術が受け放題になるようなサブスクリプション型プランは、リピート利用を促進し結果的に客単価の底上げにつながります。

よくある質問

最後に、美容室の客単価に関して経営者の方からよく寄せられる質問とその回答を確認しておきましょう。

客単価はどれくらいの頻度で確認すれば良いですか?

少なくとも月に1回は客単価を確認することをおすすめします。特に売上報告や月次決算のタイミングで、来店数と売上から自店の客単価を算出しましょう。

また、キャンペーン実施後など状況が変わったときには適宜チェックし、早めに傾向をつかむことが大切です。

客単価が下がっていると判明したら最初に何を調べるべきですか?

まずは客単価低下の要因を突き止めることが重要です。売上と来店数の推移を分析し、1人あたりの購入点数が減っていないか、あるいは提供商品の単価自体が下がっていないかを確認しましょう。

また、過度な割引やクーポンの乱発で平均単価が下がっていないかも合わせてチェックし、原因に応じた対策を講じます。

高単価メニューの値付けはどう決めるべきですか?

高単価メニューの価格設定では、提供する価値とお客様の受け取るメリットを基準に考えましょう。まず原価や施術時間などから最低限カバーすべきコストを算出し、そこにブランド力や付加価値分を上乗せして価格を決定します。

価格設定の際には競合サロンの同等メニュー価格も参考にしつつ、3段階の価格帯を用意して中間のプランを選びやすくするなどの工夫も効果的です。最終的には、お客様が「その価格を払うだけの価値がある」と感じられるよう、サービス内容と価格のバランスを取りましょう。

まとめ

美容室の客単価を上げることは売上アップと経営安定に欠かせない施策です。客単価に注目すれば、売上予測が容易になり、メニュー改善や戦略立案にも役立ちます。客単価を把握するには売上・来店数・平均単価の3指標を定期的にモニタリングしましょう。

もし、客単価が下がっている場合は原因を分析し、メニューの高付加価値化や価格見直しなど適切な対策を講じることが重要です。スタッフの技術力向上や信頼関係の構築といった基盤も強化しながら、限定メニューや高級プラン導入など様々な手法で客単価アップに取り組んでみてください。

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