「クロスセルとアップセルの違いは?」
「具体的に何をすればいいの?」
クロスセルは、顧客に関連する追加の商品やサービスを提案する営業戦略ですが、上記のような悩みや疑問を感じている人もいることでしょう。
顧客がすでに商品やサービスを購入している場合に、関連性の高い追加アイテムを提案することで、顧客満足度を向上させ、売上や利益を増加させること見込めます。
この記事では、クロスセルを実施する際のポイントやフロー、導入に成功している事例やアップセルとの違いについて解説していきます。
クロスセルとは
クロスセルとは、顧客が既に購入している商品やサービスに関連する追加の商品やサービスを提供するマーケティング戦略の一種です。
つまり、顧客がすでに購入している商品やサービスに関連性の高い追加の商品やサービスを提案し、顧客の利便性を向上させたり、売上や利益を増加させたりすることを指します。
たとえば、携帯電話を購入した顧客に対して、保護フィルムやケースなどのアクセサリーを提案する、あるいは新しい車を購入した顧客に対して自動車保険や定期点検サービスを提案するなどがクロスセルの例に挙げられます。
クロスセルは顧客のニーズや関心に基づいて適切な商品やサービスを提案することで、顧客満足度を向上させ、売上や利益を増加させる効果が期待されます。
クロスセルのメリット
ここでは、クロスセルのメリットについて解説します。
- メリット①:顧客単価が向上する
- メリット②:リピートが期待できLTVが向上する
- メリット③:営業効率が高まる
メリット①:顧客単価が向上する
クロスセルのメリットとして、顧客単価が向上が挙げられます。
具体的に、顧客のニーズに合った関連商品やサービスを提案することで、顧客が購買する確率が高まります。
また、顧客の利便性が高まるような関連性の高い商品やサービスを提案することで、購買意欲を喚起する効果もあるでしょう。
これにより、顧客が購入する商品やサービスの種類が増え、売上と利益が増加するのです。
メリット②:リピートが期待できLTVが向上する
リピートが期待できLTV(顧客生涯価値)が向上することもクロスセルのメリットのひとつです。
理由として、顧客が関連性の高い追加の商品やサービスを購入することで、その顧客の満足度が向上することが挙げられます。
クロスセルによって顧客のニーズや要求を満たすことで企業に対する信頼や好感度が高まるため、顧客がリピート購買を行う可能性が高まるのです。
また、提案内容が顧客のライフスタイルやニーズにマッチしていれば、顧客は定期的にその商品やサービスを購入するようになるでしょう。
たとえば、スマートフォンを購入した顧客に対して、月額制アプリや保守サービスの利用を提案することで、顧客が継続的に商品やサービスを利用する可能性が高まります。
これらから、顧客のリピート率やLTVが向上し、企業の収益性の向上が見込めるのです。
メリット③:営業効率が高まる
営業効率が高まるクロスセルのメリットです。
たとえば、既存顧客であれば購買履歴を活用して、顧客に適した提案をスムーズに行うことができます。
顧客のニーズや要求に合った関連性の高い追加の商品やサービスを的確に提案することで、提案の受容率や成功率が向上し営業効率が高まるのです。
さらに、クロスセルによって顧客との関係が強化され、長期的な顧客関係を築くことができます。
クロスセルとアップセルの違い
クロスセルとアップセルの違いは以下の通りです。
- クロスセル:購入した商品やサービスに関連する追加の商品やサービスを提案
- アップセル:購入した商品やサービスよりも高価・上位の商品やサービスを提案
クロスセルの例として、携帯電話を購入した顧客に対して保護フィルムや充電器などのアクセサリーを提案することが挙げられます。
一方のアップセルの例には、ドリンクを注文した顧客に対し、サイズアップを提案することが挙げられます。
クロスセルの成功事例
ここでは、クロスセルの成功事例を紹介していきます。
- Amazon:BtoC × オンラインのクロスセル事例
- マクドナルド:BtoC × オフラインのクロスセル事例
- Salesforce:BtoB × オンラインのクロスセル事例
- 大塚商会:BtoB × オフラインのクロスセル事例
Amazon:BtoC × オンラインのクロスセル事例
Amazonのクロスセルの成功例として、顧客が特定の商品を購入する際に関連性の高い商品を提案する機能が挙げられます。
たとえば、本を購入する際に購入履歴や閲覧データから「おすすめの商品」として同じジャンルの本や関連書籍、書籍の関連商品として電子書籍リーダーや読書用ライトなどが提案されます。
また、家電製品を購入する際には、付属品や保証延長サービス、関連するアクセサリーなどが提案されることもあります。
このように、Amazonのクロスセルはシステム化に成功した良い例であるといえるでしょう。
マクドナルド:BtoC × オフラインのクロスセル事例
マクドナルドのクロスセルの成功例として、セットメニュー販売が挙げられます。
たとえば、ハンバーガーとポテト、ドリンクをセットにして販売することで、顧客が単品で注文するよりも高い価値を提供することで顧客のニーズを満たしています。また、サイドメニューとしてサラダやチキンナゲットなどの追加商品を提供も同様です。
このように、単品の販売に比べて売上と利益を増加させ、顧客満足度も向上させています。
Salesforce:BtoB × オンラインのクロスセル事例
Salesforceは、Sales CloudとMarketing Cloudの統合を提案することでクロスセルを成功させています。
SalesforceはSales CloudをCRMソリューションとして提供していますが、顧客とのコミュニケーションをさらに強化するために、Marketing Cloudを活用したマーケティングキャンペーンやメールマーケティングの統合が可能です。
これは、標準パッケージに加え、顧客のニーズを満たすためにオプションやカスタマイズ設定を提供していることをイメージするとわかりやすいでしょう。
このような統合によって、Salesforceは顧客獲得から顧客維持までを効果的に支援し、クロスセル効果を最大化しています。
大塚商会:BtoB × オフラインのクロスセル事例
大塚商会のクロスセルの成功例として、クラウドサービスとハードウェアの統合が挙げられます。
同社はクラウドサービスやソフトウェアの提供だけでなく、それらを活用するためのハードウェアや周辺機器も幅広く取り扱っており、顧客がクラウドサービスを導入する際には、それに適したハードウェアや周辺機器も提案することでセット導入が促進されます。
ほかにも、複合機をリースする際、コピー用紙をセットで販売することもクロスセルの成功事例といえるでしょう。
クロスセルを行う具体的なステップ
ここでは、クロスセルを行うための具体的なステップを解説していきます。
- ステップ①:顧客データを整理・分析する
- ステップ②:クロスセルの形式・戦略を設計する
- ステップ③:戦略をもとにクロスセルを導入する
- ステップ④:効果検証と改善を行う
ステップ①:顧客データを整理・分析する
まずは、顧客の過去の購買履歴や行動データを分析し、関連性の高い追加の商品やサービスを特定します。
顧客のニーズや嗜好を把握するために、データ分析ツールやCRMシステムを活用するのも効果的です。
ステップ②:クロスセルの形式・戦略を設計する
顧客を特定のセグメントに分類し、それぞれのセグメントに適したクロスセル戦略を立案・設計するプロセスです。
顧客の属性や行動パターンに基づいてセグメントを作成し、関連性の高い追加の商品やサービスを提案する準備を行います。
ステップ③:戦略をもとにクロスセルを導入する
提案を顧客に効果的に伝えるためのチャネルや方法をはじめとする戦略をもとにクロスセルを導入します。
店頭での直接的なコミュニケーション以外に、電子メールやダイレクトメール、WebサイトやSNSなど、複数のコミュニケーションツールも活用できます。
ステップ④:効果検証と改善を行う
導入を行った後は、顧客の反応や応答をモニタリングし、効果検証と改善を行います。
効果検証は顧客のニーズや市場の変化に対応し、効果的なクロスセル戦略を持続的に実施するために、定期的な評価と改善を行わなければなりません。
クロスセルを実施する際の注意点
実施することで顧客単価の向上をはじめとするメリットがあるクロスセルですが、実施する際には気を付けなければならないこともあります。ここでは、クロスセルを実施する際の注意点を解説します。
- 注意点①:対象顧客・タイミング・勧める商品を見極める
- 注意点②:顧客のナーチャリングをする
- 注意点③:顧客データの管理・分析を行う
注意点①:対象顧客・タイミング・勧める商品を見極める
クロスセルを行う際には、タイミングや商品の見極めに注意する必要です。
顧客の興味関心や購買パターンを理解し、適切なタイミングで関連性の高い提案を行わなければなりません。不適切な提案やタイミングの悪いアプローチは、顧客の不快に感じさせてしまう恐れがあります。
このような事態に陥らないよう、クロスセルを行うタイミングや提案商品に注意しましょう。
注意点②:顧客のナーチャリングをする
ナーチャリングとは、顧客との関係を築き、顧客の関心やニーズに合わせた適切な情報やサービスを提供することを指します。
こちらを怠ると、顧客との信頼関係を築けていない状態かつニーズにそぐわない追加提案となってしまい、それらは受け入れられずネガティブな印象を与える恐れがあります。
クロスセルを実施することがマイナスにならないよう、顧客のナーチャリングを徹底しましょう。
注意点③:顧客データの管理・分析を行う
タイミングの見極めやナーチャリングを行うためにも、顧客データの管理・分析を行うことは必要不可欠です。
顧客データを活用することで、顧客のニーズや嗜好を理解し、適切な提案を行うことができます。また、顧客を適切にターゲティングし、パーソナライズされた提案を行うことが可能となります。
さらに、効果の評価と改善も顧客データの管理・分析によってできるため、クロスセル戦略の成功に要素となっています。
まとめ:クロスセルを実施して顧客単価をアップさせよう
顧客が既に購入している商品やサービスに関連する追加の商品やサービスを提供するクロスセルは、実施することで顧客単価のアップを狙えるマーケティング戦略です。
クロスセルは、ナーチャリングやタイミングを見極めて行うことで高い効果が発揮できますが、失敗すると顧客に不信感や不快感を抱かせてしまう恐れもあります。
失敗しないクロスセルの実施には、外部に相談するのも方法のひとつであり、ドリームアップではインサイドセールスや商談の代行サービスも提供しています。
効率的な営業活動やマーケティング戦略の見直しを検討する際には、ぜひ一度相談してみてください。