2024.06.19

BRD(ビジネス要件定義書)とは?構成要素や作成手順を紹介

プロジェクトリーダーとして活躍するシステムエンジニアの皆様、BRDという言葉は聞いたことがあるものの、具体的な内容や作成方法がよくわからず、どのように活用すればよいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。

そんな皆様には、本記事で以下の内容について解説します。

BRDを適切に作成、活用することでビジネス要件を的確に理解し、システム要件へ落とし込む力が身につきます。

今回の記事を最後まで読めばBRDの重要性や作成方法を理解し、プロジェクトマネジメントに役立てるヒントが得られるはずです。ぜひ、BRDに対する理解度を深めて、プロジェクト成功への一歩を踏み出してください。

BRD(ビジネス要件定義書)とは?

BRD(ビジネス要件定義書)は、プロジェクトの目的や目標、ビジネス上の要件などを明確にするドキュメントです。BRDの主な目的は、プロジェクトの関係者全員が、プロジェクトの方向性や達成すべき事項について共通認識を持つことにあります。

BRDにはプロジェクトの背景や目的、ビジネス上の課題、解決策、期待される効果などが内容として含まれます。また、プロジェクトの範囲や前提条件、制約事項なども記載されるのが一般的です。

BRDはプロジェクトの初期段階で作成され、プロジェクト全体の指針となる重要な文書と位置づけられています。

SRD(システム要件定義書)との違い

BRDとSRD(システム要件定義書)は、どちらもプロジェクトの要件を定義する文書ですが、その目的と内容には違いがあります。BRDがビジネス上の要件に焦点を当てているのに対し、SRDはシステムの機能や性能、インターフェースなど、技術的な要件を詳細に定義するものです。

つまり、BRDはプロジェクトの目的や目標を明確にし、SRDはそれを実現するためのシステム要件を具体化するという関係にあります。BRDの内容を基にSRDが作成され、両者が整合性を保つことでプロジェクトの成功確率が高まると言えるでしょう。

BRDを作るメリット

BRDを作るメリットは、以下の3つです。

  1. クライアントのニーズを明確化できる
  2. 開発範囲を限定できる
  3. 品質の基準を設定できる

それぞれのメリットがどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

クライアントのニーズを明確化できる

BRDを作成することで、クライアントが求めているニーズや要望をより具体的に把握できます。曖昧だったクライアントの要求事項を文書化することで、開発チームが目指すべき明確な目標を設定できるのが大きなメリット。

クライアントとの認識の齟齬を防ぎ、プロジェクトを円滑に進める上で、BRDは非常に有効なツールといえます。クライアントとのやり取りをよりスムーズにしたい場合、力を入れて作成することが重要です。

開発範囲を限定できる

BRDにはプロジェクトの範囲や前提条件、制約事項などが記載されます。開発チームは求められている機能や性能を明確に理解し、適切な形で開発を進められます。

また、BRDを基に開発チームとコミュニケーションを取ることで、お互いの理解を深め、意思疎通を図りやすくなるのもポイント。制作を進める中で、ミスやトラブルを未然に防げるようになるでしょう。

品質の基準を設定できる

BRDには、プロジェクトの目標とする品質レベルや、満たすべき性能要件などが記載されます。開発チームは達成すべき品質の基準を明確に認識し、高いクオリティで制作に臨むことが可能です。

クライアントと開発チーム間で品質に対する認識のズレが生じるリスクを軽減し、より高品質な成果物の提供につなげられるでしょう。BRDは、プロジェクトの品質管理における重要な指標としても機能します。

BRDの構成要素

BRDの構成要素として、以下の7つが主に挙げられます。

  1. エグゼクティブサマリー
  2. プロジェクト目標
  3. プロジェクトスコープ
  4. ビジネス要件
  5. ステークホルダー
  6. プロジェクトの制約
  7. 費用便益分析

それぞれがどのような要素なのか、1つずつ見ていきましょう。

エグゼクティブサマリー

BRDにおいて、エグゼクティブサマリーは非常に重要な要素です。エグゼクティブサマリーとはプロジェクトの概要や目的を簡潔にまとめることで、ステークホルダーがプロジェクトの全体像を素早く把握できるようになります。

エグゼクティブサマリーを読むだけで、プロジェクトの方向性や期待される成果が理解できるよう、明確かつ的確な記述を行うことが大切です。そのプロジェクトで何を成し遂げたいのか、一目で確認できるレベルに持っていきましょう。

プロジェクト目標

プロジェクトの目的や達成すべき目標を明確に定義することは、プロジェクト成功の鍵となります。目標は具体的かつ測定可能なものであるべきで、曖昧な表現は避けることが重要です

プロジェクト目標を適切に設定することでチームメンバーの意識を統一し、プロジェクトの方向性を明確に示せます。目標に到達できなかった場合でも何が足りなかったのか明確になるので、振り返りを行うためにも必須の項目です。

プロジェクトスコープ

スコープを適切に管理して、プロジェクトの範囲を明確に定義しましょう。スコープが定まっていないと、プロジェクトの遅延や予算超過につながる恐れがあります。

プロジェクトスコープを決めておくと、トラブルを抑えられる可能性が高くなります。より安全かつ円滑に開発を進めたい場合に、必須な項目と言えるでしょう。

ビジネス要件

ビジネス要件は、プロジェクトの目的を達成するために必要な機能や条件を定義するものです。各要件をリストアップして説明するだけでなく、優先順位と重要度のランク付けまでしておくとより成功に近づきます。

優先順位が明確になっていると、より早く成果物を完成させられます。どの部分を優先的に作るべきなのか、明確にしておきましょう。

ステークホルダー

プロジェクトに関わるステークホルダーを特定し、誰が関わるのか明確にしておきましょう。BRDにおいて、ステークホルダーとその責任範囲を明記することで、プロジェクトの体制を明確化できます。

ステークホルダーの欄が明確になっていると、自分の他に誰が関わっているのか把握でき、コミュニケーションが取りやすくなります。よりストレスのないやり取りを実現するためにも、ステークホルダーの欄を記載することが重要です。

プロジェクトの制約

プロジェクトには予算、スケジュール、リソースなどの制約条件が存在します。制約を明確にし、考慮することでより正確にプロジェクトを計画・実行することが重要です。

BRDにおいて、プロジェクトの制約条件を明記することで、現実的な計画立案が可能になります。チームのリソース、予算などを明記してどのような制約があるのかはっきりとさせておきましょう。

費用便益分析

プロジェクトの費用対効果を分析することは、プロジェクトの実行可否を判断する上で重要です。費用便益分析の結果は、プロジェクトの優先順位付けにも影響を与えます。

BRDにおいてプロジェクトの費用と期待される効果を明示することで、投資対効果を明確化できます。どのようなコストがかかるのか、一目で分かるように記載しましょう。

BRDの作成手順

BRDの作成手順は以下の通りです。

  1. ステークホルダーを洗い出す
  2. ビジネス目標を設定する
  3. 初期要件を抽出する
  4. 非機能要件をチェックする
  5. 要件を絞り込む
  6. 制約条件・前提条件を考慮した案を考える
  7. ステークホルダーに確認してもらう

再現性の高い手順なので参考にしてみてください。

ステークホルダーを洗い出す

BRDを作成する上で、プロジェクトに関わるステークホルダーを特定することは重要です。ステークホルダーには、プロジェクトメンバーや意思決定者、関係部署、外注先、クライアントなど、直接・間接的に関わる人々が含まれます。

それぞれのステークホルダーの役割や関心事を理解することで、プロジェクトの方向性を適切に設定できます。ステークホルダーとのコミュニケーションを図り、要求事項を的確に把握して、BRDに落とし込みましょう。

ビジネス目標を設定する

プロジェクトのビジネス目標を明確に定義することは、BRDの作成において重要な作業です。ビジネス目標は、プロジェクトの目的や達成すべき事項を示すもので、プロジェクトの方向性を決定づける役割を果たします。

ビジネス目標を適切に設定することでプロジェクトの価値や意義を明らかにし、関係者の理解と協力を得られます。ビジネス目標が曖昧だと、プロジェクトの失敗につながる恐れがあるため、具体的かつ測定可能な目標設定が求められます。

初期要件を抽出する

ステークホルダーからの要求事項を収集し、整理することはBRD作成の基礎となる作業です。ヒアリングやインタビュー、ワークショップなどを通じて、ステークホルダーのニーズや期待を的確に把握する必要があります。

収集した要求事項は、プロジェクトの初期要件としてまとめられ、プロジェクトの基盤となります。初期要件の質と量が、プロジェクトの成否を左右すると言っても過言ではありません。

非機能要件をチェックする

非機能要件とはシステムの性能や信頼性、使いやすさなど、機能以外の要件を指します。非機能要件は、システムの品質や利用者の満足度に直結するため、慎重に検討することが大切です。

可用性、性能、セキュリティ、運用性など、多岐にわたる非機能要件を漏れなく定義することが求められます。非機能要件の不備はプロジェクトの失敗や手戻りのリスクを高めることになるので、慎重に定義しましょう。

要件を絞り込む

ステークホルダーから収集した要求事項は、網羅的であるがゆえに膨大な量になることがあります。すべての要求を満たすことは現実的ではないため、要件の優先順位付けと絞り込みが必要です。

プロジェクトの目的や制約条件を考慮しながら、実現可能な要件を選定していく作業が求められます。ステークホルダーとの合意形成を図りながら、要件の取捨選択を進めていきましょう。

制約条件・前提条件を考慮した案を考える

BRDを作成する際は、プロジェクトの制約条件や前提条件を十分に考慮する必要があります。予算やスケジュール、リソースなどの制約はプロジェクトの実現性に大きな影響を与えます。

また、既存システムとの連携や法規制への対応など、前提条件も見落とせません。制約や前提を無視した計画は、プロジェクトの失敗リスクを高めることになります。

ステークホルダーに確認してもらう

BRDの作成が完了したら、ステークホルダーに内容を確認してもらうことが重要です。ステークホルダーの理解と合意なくして、プロジェクトの成功はありません。

BRDの内容がステークホルダーのニーズや期待に合致しているか、確認を取る必要があります。ステークホルダーからのフィードバックを受け、必要に応じてBRDを修正して完成形を目指しましょう。

BRDを作成する際のコツ

BRDを作成する際のコツとして、以下の3つを押さえておきましょう。

  1. 発注側と開発側で認識を合わせる
  2. 要件を順位づけする
  3. 専門用語をなるべく使わない

 

BRDを作成する際の参考にしてみてください。

発注側と開発側で認識を合わせる

要件定義書はプロジェクトの基盤となるため、ユーザーとベンダー間の認識の齟齬は大きなリスクとなります。双方が納得できる要件定義書を作成するためには、細かい打ち合わせに基づいた相互理解が不可欠です。

認識のズレを防ぐために頻繁なコミュニケーションを図り、合意形成に努めると安心できます。要件定義書を作成することはもちろん、コミュニケーションの重要性も改めて認識しておくと良いでしょう。

要件を順位づけする

プロジェクトには限られたリソースしかないため、すべての要求や要件に対応できない場合があります。無理にすべて対応するのではなく、要件の優先順位付けが重要です。

開発プロセスにおいて実現可能な範囲を明確にするために、事前に要求や要件の優先度を検討しておく必要があります。打ち合わせを行う際は、要件の順位づけも進めるように意識しましょう。

専門用語をなるべく使わない

要件定義書はIT部門以外の人々も参照する可能性があるため、わかりやすい表現を心がける必要があります。専門用語や業界用語の使用は避け、誰でも理解できる分かりやすい表現を用いることが重要です。

また、専門用語を使う場合は、必ず用語集を添付するなどの配慮が求められます。一見してすぐに分かる要件定義書を作成するように心がけましょう。

まとめ:BRDの作成手順やコツを理解してから作りましょう!

BRD(ビジネス要件定義書)はプロジェクトの目的や目標、ビジネス上の要件などをクライアントと共有するために必要な書類です。BRDを作りこみ、クライアントとのコミュニケーションを徹底することで、よりスムーズかつ安全に開発を進められます。

今回の記事では作成手順やコツも紹介しているので、クライアントとの開発をより円滑に進めたい場合はぜひ参考にしてみてください。

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