顧問先を増やしたいと考えながら、「何から手をつければいいのかわからない」と感じている税理士・会計事務所の方は多いはずです。この記事では、新規顧問先の獲得に効果的な具体的手法を、オンライン・オフライン両面から網羅して解説します。
紹介営業やホームページからの集客、セミナー開催など、手法ごとの特徴や向いている事務所の規模・状況も整理しています。「自事務所にどの方法が合うか」を判断する基準として、すぐに実務へ活かせる内容をお届けします。
税理士が顧問先を獲得するために今すぐ確認すべき準備

2026年5月末時点で税理士登録者数は82,233人(日本税理士会連合会公表)に達し、供給過多の状態が続いています。一方、国内の中小・小規模事業者数は約360万社で横ばい傾向にあり、顧問先をめぐる競争は年々激しくなっています。
そんな環境で集客施策だけを先行させても、成果はなかなか出ません。まず「自事務所の現在地」を把握する4ステップを踏むことが、施策の成否を分ける起点になります。
- 自事務所の強みと弱みを明確にする
- ターゲットとなる顧客層を絞り込む
- 地域の競合事務所をリサーチする
- 自事務所のブランディング方針を決める
自事務所の強みと弱みを明確にする
最初にやることは、自事務所が「何をどこまでできるか」を書き出す作業です。相続・法人税務・創業融資支援など、対応業務の一覧と、個人事業主向けか中小法人向けかといった顧問先規模の方向性を整理しましょう。
あわせて、スタッフ数と稼働キャパから新規受け入れ可能な件数の上限を把握することが重要です。この上限を無視したまま集客を進めると、対応品質の低下や既存顧問先との関係悪化につながります。
弱みは「対応できない領域」として正直に言語化しておくと、リソースの過剰投下を防げます。SWOT分析のフレームを使うと強み・弱み・機会・脅威を一枚の表に整理しやすく、方針決定の土台として活用できます。
ターゲットとなる顧客層を絞り込む
「個人事業主 vs 法人」「スタートアップ vs 既存中小」「業種特化 vs 総合」という3つの軸でターゲットを分類すると、狙うべき顧客像が具体的になります。ターゲット像が明確なほど、後続の施策選択がブレなくなります。
ターゲットが税理士を探す経路も予測しておきましょう。検索エンジン・知人紹介・税理士ポータルサイトのどれが主なルートかによって、注力すべき施策が変わります。
また、顧問料の単価設計はターゲット設定と連動します。ターゲットを絞ることで広告費・営業工数を集中できるうえ、訴求メッセージも一貫させやすくなります。ターゲットを広げすぎると、どのメッセージも刺さらない状態に陥りがちです。
地域の競合事務所をリサーチする
Googleマップで「地域名×税理士」を検索し、上位に表示される事務所のホームページ・料金体系・専門特化領域を確認します。競合が打ち出している強みを把握することで、差別化できるポイントが見えてきます。
規模の大きい事務所とのリソース競争は避けるのが賢明です。IT業・飲食業・医療など、競合が集中していない業種特化のポジションを狙うと、ニッチ市場でのシェア確保が現実的になります。
自事務所のブランディング方針を決める
ブランディングとは、「何が得意で、誰のどんな悩みを解決するか」を一文で表現できる状態を作ることです。この一文が決まれば、ホームページ・名刺・SNSで打ち出すメッセージを統一できます。
差別化軸は「料金の透明性」「レスポンス速度」「業種特化」など、1〜2本に絞るのがポイントです。軸が多すぎると訴求が散漫になり、問い合わせ獲得後の「なぜ選ばれないか」という迷宮に入り込みます。
- 問い合わせはあるが、面談後に失注が続く
- ホームページ・名刺・SNSでメッセージがバラバラ
- 「なんでも対応します」と伝えて、逆に信頼されない
- 集客施策ごとにターゲットが変わり、費用対効果が測れない
- 強み・弱み・稼働上限を言語化してから施策に進む
- ターゲット設定が施策選択・単価設計の土台になる
- 競合リサーチでニッチポジションを見つける
- ブランディング方針を決めてからメッセージを統一する

SakuSakuは、採用倍率70倍を勝ち抜いた営業アシスタントが問い合わせフォームに営業文を送付する、人による問い合わせフォーム営業代行サービスです。AIではなく人が一件ずつ送信するため、フォーム入力エラーや送信できない企業が少なく、1通40円から問い合わせフォーム営業を始められます。
SakuSakuの特徴は以下の通りです。
- 完全オーダーメイドでの文面作成とリスト精査
- 定例の戦略会議を通じたPDCAサイクルの運用
- すべて人が送信することによる高い送信成功率
- アポイント創出までを二人三脚で伴走するサポート体制
紹介だけに頼らず顧問先を増やしたい税理士事務所に対し、業種・規模・地域などのターゲット条件を踏まえた文面で、問い合わせフォームから新規法人へ継続的にアプローチできます。
\ リード獲得を課題とする200社超が導入 /
【オンライン】税理士の集客方法とそれぞれのメリット・デメリット

Webマーケティングを活用する事務所としない事務所とでは、顧問先の獲得数に明確な差が生まれています。税務相談・会社設立・相続といった領域は検索需要が高く、Web集客との相性が良い分野です。
以下では、オンライン集客の代表的な手法を取り上げ、メリット・デメリット・費用感・向いている事務所規模をあわせて解説します。自事務所に合った手法を選ぶ参考にしてください。
- ホームページ(SEO対策)
- Googleビジネスプロフィールの活用
- 税理士紹介サービス・ポータルサイトの活用
- SNS・動画を使った情報発信
- リスティング広告(Web広告)の活用
ホームページ(SEO対策)
SEO対策を施したホームページは、「税理士を探している状態のユーザー」が直接流入するため、問い合わせの質が高いのが最大の特長です。一度上位表示されれば継続的に集客が続くため、長期的なコストパフォーマンスに優れています。
一方で、SEO効果が出るまでには一般的に半年〜1年以上かかります。コンテンツの制作・更新を継続しないと集客力が低下し、「名刺代わりのHP」に留まるリスクがある点は注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用感 | 制作費は規模により大きく異なる。SEO外注は月額数万〜数十万円が目安 |
| 向いている事務所 | 中長期的に安定した集客を目指す事務所全般 |
SEOで狙うべきキーワードの選び方
「渋谷区 税理士」「横浜 法人税理士」のような地域名×税理士のローカルキーワードは、エリアを絞った見込み客を集めやすく優先度が高い選択肢です。「会社設立 税理士」「相続税 税理士 東京」のように検索意図が明確なキーワードも、顧問契約に直結しやすいため狙い目です。
競合が少ないロングテールキーワード(検索ボリュームが小さい複数語の組み合わせ)は、小規模事務所に特に有効です。Googleキーワードプランナーで月間検索ボリュームと競合性を確認しながら選定しましょう。
コンテンツで差別化するポイント
ブログ・コラムで「経営者層が興味を持つノウハウ」を継続発信することが、アクセス増の鍵になります。飲食業の税務やIT企業の経費処理など業種特化コンテンツを作ると専門性が際立ちます。
代表税理士の顔写真・経歴・実績を掲載して人柄と信頼性を伝えることも重要です。料金体系・顧問契約の流れ・対応業務範囲を明記し、問い合わせのハードルを下げる設計を意識しましょう。
Googleビジネスプロフィールの活用
「○○市 税理士」と検索した際に地図と一緒に上位表示されるGoogleビジネスプロフィールは、無料で始められる割に地域集客効果が高い手法です。電話・問い合わせへの直結率が高く、開業直後の事務所でも取り組みやすいのが魅力です。
口コミが蓄積されると初めての見込み客の不安を和らげる効果もあります。ただし、情報が不完全だとGoogleからの評価が下がり表示順位が落ちるため、登録内容の充実と更新頻度の維持が欠かせません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用感 | 基本無料(広告表示オプションは有料) |
| 向いている事務所 | 地域密着型・開業直後で費用をかけたくない事務所 |
主な施策は以下のとおりです。
- 住所・営業時間・電話番号・URLを漏れなく登録する
- 事務所の外観・内観・スタッフ写真を複数枚掲載する
- 顧問先に口コミ投稿を依頼し、ネガティブ口コミにも丁寧に返信する
- 投稿機能で税務情報やお知らせを定期発信し鮮度を保つ
税理士紹介サービス・ポータルサイトの活用
税理士ドットコム・freee税理士検索・比較ビズ・ミツモアなどのポータルサイトは、「今すぐ税理士を探している」見込み客に直接リーチできます。気に入った案件だけに手を挙げる仕組みのため、顧問先との相性を事前に確認できる点も利点です。
自社集客が整うまでの初動案件獲得に使いやすい一方、価格・対応速度での比較になりやすく価格競争に巻き込まれるリスクがあります。掲載費用・成果報酬が収益性を圧迫する可能性もあるため、独自集客ルートが育ったらポータル依存度を段階的に下げる戦略が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用感 | 掲載費・成果報酬はサービスごとに異なる(各サービス公式サイトで要確認) |
| 向いている事務所 | 開業間もない事務所・案件の種類を広く試したい事務所 |
SNS・動画を使った情報発信
YouTube・X(旧Twitter)・Instagramは、専門性と人柄を同時に発信できる媒体です。動画コンテンツは「顔が見える」安心感を与え、問い合わせ前の信頼構築に有効に機能します。アルゴリズムによる拡散で地域外の見込み客にもリーチできる点も魅力です。
ただし、効果が出るまでにはSEO同様、半年〜1年以上の継続発信が必要です。SNSは直接の顧問契約獲得というより、ブランディング・認知形成のチャネルと位置づけて取り組むことが重要です。動画制作には機材・編集の工数もかかる点を考慮しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用感 | 基本無料(機材・編集ツール費用が発生する場合あり) |
| 向いている事務所 | 専門特化や人柄で差別化したい事務所・継続発信できるリソースがある事務所 |
リスティング広告(Web広告)の活用
リスティング広告(検索連動型広告)は、「今すぐ税理士を探している」ユーザーに即日アプローチでき、他の手法と比べて効果が出るまでの期間が短いのが最大の強みです。地域・キーワード・時間帯で配信対象を細かく絞れるため、無駄な露出を抑えやすい点もメリットです。
一方で、広告を止めると流入がゼロになるため継続的な広告費が必要になります。「税理士 顧問」のような競合の多いキーワードはクリック単価が高騰しやすく、士業系は一般的に高単価傾向があります。LP(ランディングページ)の質が低いと費用対効果が悪化するため注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自社運用の費用感 | 月額20〜50万円程度が一般的な目安(地域・競合状況で変動) |
| 代理店依頼の場合 | 広告費に加え、初期費用3〜10万円・手数料(広告費の約20%が目安)が発生 |
| スモールスタート | エリアを絞れば月5万円〜から始めることも可能 |
| 向いている事務所 | 早期に問い合わせを獲得したい事務所・広告費を確保できる中規模以上の事務所 |
出稿時は「地域名×税理士」「会社設立 税理士」「相続税 申告 税理士」など顧問契約に近いキーワードに絞ることが基本です。
- 開業直後・費用を抑えたい → Googleビジネスプロフィール・ポータルサイトから着手
- 中長期で安定集客したい → SEO対策つきホームページに注力
- すぐに問い合わせを獲得したい → リスティング広告でスモールスタート
- 専門性・人柄で差別化したい → SNS・YouTube で継続発信
【オフライン】税理士の営業方法とそれぞれのメリット・デメリット

TKCが税理士・会計士526人を対象に実施した調査(2020年)によると、新規顧客開拓の71.9%は顧問先や知人からの紹介が占めています。紹介は成約率・信頼度ともに高い反面、紹介元のネットワークが固定されるため新規流入に構造的な上限があります。
オフライン手法を多様化することで、紹介依存のリスクを分散させることがこのセクションのテーマです。
(出典: TKC「新規顧客の拡大や集客方法」税理士・会計士526人対象アンケート)
- 既存顧問先・知人からの紹介促進
- 金融機関・他士業・商工団体との関係構築
- セミナー・勉強会の開催
- DM・チラシ・ポスティングの活用
- 異業種交流会・人脈形成への参加
既存顧問先・知人からの紹介を促進する
紹介は顧客獲得コストがほぼゼロで、信頼関係がある状態からスタートできるため成約率が高いのが特徴です。紹介先の属性も紹介元のフィルターを通っているため、顧問先としての相性が良い傾向があります。
一方で、紹介元のネットワークが固定される構造上、増加数に上限があります。紹介元の事業縮小・廃業が起きると突然の流入減につながるリスクもあり、断りづらいケースで相性の悪い顧問先を受け入れざるを得ない状況も生じます。
「待つ紹介」から「仕組みとして生み出す紹介」へ転換することが重要です。期限厳守・レスポンス速度・経営アドバイスなど基本サービスの質を高めて「紹介したい」と思わせる土台を作り、ニュースレターや面談時に「知人で税務相談したい方がいればご紹介ください」とひと言添える習慣を持ちましょう。
- 全規模の事務所に向いている基本施策
- 費用感はほぼゼロ
金融機関・他士業・商工団体との関係構築
銀行や信用金庫は顧問先の借入先と重なるため、相互紹介の関係が成立しやすいパートナーです。TKCの調査でも「金融機関からの紹介」は30%超の獲得チャネルとなっており、今後重視したい手法としても上位に挙がっています。
司法書士・社労士・弁護士など他士業との連携も有効です。専門外の案件を相互紹介することで、自事務所のカバー範囲を超えた案件ニーズを取り込めます。商工会議所・商工会への参加も、地域の経営者と接点を持つ場として機能します。
デメリットは即効性のなさです。関係構築には時間がかかり、紹介の質・量は相手側の状況にも依存します。費用はほぼゼロですが、交流会や会合への参加費は少額発生することがあります。
セミナー・勉強会の開催
「創業融資」「相続対策」「インボイス制度対応」など旬のテーマでセミナーを開催すると、情報収集段階の見込み客を集めて専門性を直接アピールできます。信頼形成から顧問契約へのパイプラインが作りやすい点が大きなメリットです。
また、顧問先の経営者仲間を連れてきてもらうことで紹介機会も広がります。オンライン開催(Zoomなどのビデオ会議ツール)を活用すれば会場費を削減でき、地理的な制約なく集客できるため、コスト面での課題を軽減できます。
集客・会場手配・資料準備に工数がかかり、参加者が少ないと費用対効果が低下します。専門特化領域を持つ事務所や、見込み客の教育に時間をかけられる事務所に向いています。
DM・チラシ・ポスティングの活用
特定地域・業種に絞って物理的にリーチできるのがDMやポスティングの強みです。開業・移転・決算時期など顧問先の変更タイミングに合わせて送付することで、接触効率を高められます。
ただし、反応率は一般に低く、コスト対効果が見えにくいのが課題です。費用は印刷費と送料が主な支出となり、規模・枚数によって異なります。
- 税理士会の広告細則に基づき、広告であることの明示義務を遵守する必要がある(参考: 税理士会会員の業務の広告に関する運用指針)
- メールで広告を送る場合は特定電子メール法の規制対象となり、受信者の事前同意(オプトイン)が必要(出典: 総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」)
異業種交流会・人脈形成への参加
異業種交流会は、経営者や創業予定者と直接出会える場として、顧問先候補との接点を作れます。紹介者ネットワークの拡大にもつながり、開業間もなく人脈が少ない事務所にとっては特に有効です。
一方で、参加頻度・時間コストが高く、すぐに顧問契約にはつながりにくいのが現実です。税理士が多い交流会では差別化が難しくなるため、業種・テーマを絞った会合を選ぶことが重要です。参加費は数千円〜数万円程度が目安となります。
- 紹介は成約率・コスト面で最も優れた基本施策。全事務所が仕組み化すべき
- 金融機関・他士業との連携は地域密着型事務所の重点施策
- セミナーは専門性アピールとパイプライン構築に効果的。オンライン活用でコスト削減も可能
- DM・ポスティングは広告規制の遵守が前提。反応率の低さを考慮したうえで実施する
- 異業種交流会は即効性より中長期的な人脈形成として位置づける
自事務所に合った集客方法を選ぶ3つの判断基準

「どの集客手法が効果的か」という問いより、「自事務所のフェーズ・ターゲット・リソースに合った手法か」を問う方が成否に直結します。施策の数を増やすより、自事務所の状況に合った集客の仕組みを1つ持つことが、安定した顧問先獲得の共通点です。ここでは手法の優先順位をつける3つの判断基準を解説します。
- 事務所規模・スタッフ数に合った手法を選ぶ
- ターゲット層が税理士を探す経路から手法を選ぶ
- 内製と外注のコスト対効果を比較する
事務所規模・スタッフ数に合った手法を選ぶ
集客に割けるリソースは規模によって大きく異なります。手法の良し悪しより、「今の体制で継続できるか」を基準に選ぶことが重要です。
規模ごとの目安は以下のとおりです。
| 規模 | 優先したい手法 |
|---|---|
| 1人事務所 | コンテンツSEO・Googleビジネスプロフィール・紹介の仕組み化 |
| 2〜5名規模 | SEO+SNS+セミナー開催など複数チャネルの組み合わせ |
| 5名以上 | リスティング広告・ポータルサイト・営業専任スタッフや外注の活用 |
受け入れキャパを超えた集客は、既存顧問先の対応品質低下や解約リスクにつながります。集客量と受け入れキャパのバランスを事前に設計しておきましょう。
ターゲット層が税理士を探す経路から手法を選ぶ
同じ「税理士への相談」でも、相談者の属性によって情報収集の場所と手段が異なります。ターゲットが「どこで・どのように税理士を探すか」を起点に手法を選ぶと、費用対効果が高まります。
属性ごとの相性が良い手法をまとめました。
| ターゲット層 | 相性の良い手法 |
|---|---|
| 個人事業主・フリーランス | SNS・動画・確定申告特化コンテンツのSEO |
| 法人・中小企業経営者 | Googleビジネスプロフィール・金融機関連携・セミナー・リスティング広告 |
| スタートアップ・創業期 | 創業融資支援をフックにしたSEO・士業ネットワーク |
| 相続・資産税 | 「相続税 税理士 地域名」SEO・地域金融機関連携・DM |
内製と外注(営業代行)のコスト対効果を比較する
SEO・SNS・Googleビジネスプロフィールは内製でも始められますが、専門知識の習得に時間がかかります。「自分でやる時間コスト」も費用として計算に入れることが大切です。
リスティング広告は代理店手数料(広告費の目安は約20%)が発生する一方、専門ノウハウによる費用対効果の改善を期待できます。営業代行・集客支援サービスを利用する場合は、月額固定型と成果報酬型の料金体系・契約内容・実績を事前に確認しましょう。
- 規模に合った手法を選び、受け入れキャパと集客量のバランスを設計する
- ターゲットの情報収集行動を起点に、相性の良い手法を優先する
- 内製の時間コストも含めてコスト計算し、外注は3〜6ヶ月単位で効果検証する
顧問先獲得で陥りやすい失敗と経営上の課題

集客手法を試しても成果が出ない場合、問題は「手法の選び方」ではなく「構造的な課題」にあることが多いです。
典型的な失敗パターンを原因と改善策とセットでご紹介します。自事務所の状況と照らし合わせながら読んでみてください。
- 紹介に頼りきりで新規流入が止まる
- 広告費をかけても問い合わせが来ない
- 忙しいのに顧問先単価が上がらない
- 顧問先の離脱が止まらず件数が増えない
紹介に頼りきりで新規流入が止まる
紹介経由の受注は成約率が高く優良顧客が多い一方、紹介元のネットワークが固定されているため、流入量に明確な上限があります。紹介元が廃業・事業縮小した途端、顧問先の新規流入が突然止まるリスクも抱えています。
さらに、Web集客の仕組みがない事務所は紹介以外からの安定した流入を作ることが難しく、顧問先数が伸び悩む構造になりやすいです。
改善の第一歩は、Webからの流入を少なくとも1チャンネル確立することです。SEO・Googleビジネスプロフィール・税理士ポータルサイトのいずれか1つから始め、紹介以外の入口を作りましょう。同時に、金融機関や他士業との連携など紹介ルートを多様化し、特定の紹介元への依存度を下げる取り組みも有効です。
広告費をかけても問い合わせが来ない
リスティング広告やポータルサイトへの掲載費を投じても問い合わせが増えない場合、多くは「LPの質」と「キーワード設定」に問題があります。
LPに事務所の強みが伝わっていないと、訪問者は「どこも同じ」と感じて離脱してしまいます。また、競争の激しいビッグキーワードを狙うと、意図しない層のクリックが増えて費用対効果が悪化しがちです。ポータルサイト経由の案件は価格・対応速度での比較になりやすく、低価格競争に巻き込まれるリスクもあります。
まず取り組みたいのが、既存顧問先への「なぜ選んだか」アンケートです。選ばれた実際の理由をLPに反映させると、同じ課題を持つ見込み客に刺さる訴求が生まれます。キーワードは「地域名×専門領域」のようなロングテールに絞ることで、費用対効果を改善できます。
- LPに「親切・丁寧・迅速」しか書かれておらず、具体的な強みが見当たらない
- 「税理士」単体のビッグキーワードのみで出稿し、地域・業種を絞っていない
- 問い合わせフォームの項目が多すぎて離脱率が高い
忙しいのに顧問先単価が上がらない
稼働時間をフルに使っているのに利益が残らない場合、低単価の顧問先を量でカバーしようとしている構造が原因であることが多いです。「何でもやります」という打ち出し方をしていると価格以外の差別化が難しく、競合との比較で値下げを求められやすくなります。
専門特化とブランディングによって、価格より専門性で選ばれる顧問先層を絞り込むことが単価アップへの近道です。たとえば「飲食業専門」「医療法人に強い」など、特定の業種・テーマに特化した打ち出しをすると、価格感度の低い顧客が集まりやすくなります。
加えて、既存顧問先の潜在ニーズを掘り起こせていないケースも多く見られます。定期ヒアリングから補助金支援・経営コンサルティング・融資サポートなど税務顧問以外のサービスへ展開することで、顧問先1社あたりの単価を引き上げることができます。
- 得意業種・領域への専門特化で単価アップ
- 顧問料体系の再設計でサービスを見える化
- 既存顧問先へのヒアリングで追加受注を創出
顧問先の離脱が止まらず件数が増えない
新規獲得を続けても顧問先の解約が重なると、件数はいつまでも増えません。解約の主な原因は「担当者の対応が遅い」「提案がない」「料金に見合う価値を感じられない」など、サービス品質への不満が積み重なった結果であることが多いです。
既存顧問先の満足度を維持することは、新規集客と同等かそれ以上にコスト効率が高い施策です。顧問先1社を失うと、その穴を埋めるために新規獲得コストが再度発生するためです。
解約防止に向けては、定期的なヒアリングや面談の機会を設けて潜在的な不満を早期に把握することが有効です。また、税制改正や補助金情報など顧問先の経営に直結するタイムリーな情報提供を継続することで、「この事務所は役に立つ」という実感を積み上げられます。レスポンス速度の改善や、担当者変更時の引き継ぎ品質の向上も離脱防止の基本施策として機能します。
- 定期ヒアリングで不満を早期に把握し対処する
- タイムリーな税務・経営情報の提供で付加価値を示す
- レスポンス速度と引き継ぎ品質を標準化する
顧問先を継続・増加させるためのブランディング戦略
2026年時点でAIによる仕訳自動化・申告書自動生成ツールが実用段階に入り、税理士に求められる価値は「記帳代行」から「経営判断のサポート」や「節税・資金繰りコンサル」へ急速にシフトしています。
この変化を打ち出せない事務所は、集客においても自分たちの価値が伝わりにくくなっています。ブランディングは「誰のどんな悩みを解決するか」を継続的に発信し続ける中長期戦略として位置づけることが重要です。
- 得意分野の専門特化で他事務所と差別化する
- 顧客の声・実績を集客に活かす
- 継続的な情報発信でオンラインプレゼンスを高める
得意分野の専門特化で他事務所と差別化する
「創業融資に強い」「IT・SaaS企業の顧問実績が豊富」「建設業の税務ノウハウがある」など、具体的な専門性を前面に打ち出しましょう。専門特化により「この分野ならこの事務所」という想起を生み出し、紹介が自然に集まる構造が作れます。
専門化の軸は主に3つあります。
- 業種特化(建設・飲食・医療など)
- 規模特化(スタートアップ・中小企業など)
- サービス特化(相続専門・節税コンサルなど)
また、競合分析と連動させることも大切です。競合が料金の安さを前面に出しているなら、自事務所は実績・専門性で差別化するという方向性がとりやすくなります。
顧客の声・実績を集客に活かす
顧問先からの口コミや推薦コメントは、ホームページやGoogleビジネスプロフィールに掲載することで強力な集客コンテンツになります。掲載にはぜひ本人の同意を取りましょう。
「節税〇〇万円を実現」「融資〇〇万円の獲得を支援」といった具体的な数値で成果を示すと、見込み客の信頼を得やすくなります。事例は業種別・課題別に分類し、「自分と同じ状況だ」と認識してもらえる形式で掲載するのがポイントです。
継続的な情報発信でオンラインプレゼンスを高める
ブログ・コラム・YouTube・X(旧Twitter)などで「経営者・起業家が関心を持つ税務・経営情報」を継続発信しましょう。SNSや動画は直接の契約獲得よりも、「認知→信頼形成→問い合わせ」のパイプライン構築として位置づけるのが正しい活用法です。
SEO・SNS・動画は効果が出るまでに半年〜1年以上かかります。短期で結果が出なくても諦めず継続することが最重要です。
新規集客に注力するあまり、既存顧問先へのケアが手薄になると解約・悪評のリスクが高まります。新規獲得と既存顧問先の満足度維持のバランスを意識して設計しましょう。
- 専門特化で「この分野ならこの事務所」という想起を作る
- 顧客の声・実績数値は広告規制の範囲内で積極的に活用する
- 情報発信は半年〜1年以上の継続を前提に設計する
- 新規集客と既存顧問先ケアのバランスを同時に設計する
顧問料の料金設定と価格戦略
顧問先獲得において、料金体系の設計と提示方法は集客力に直結する重要な要素です。料金が不明瞭なままでは問い合わせのハードルが上がり、面談後の失注にもつながります。
料金体系を透明化して問い合わせ数を増やす
ホームページや営業資料に料金の目安を掲載することは、見込み客の「連絡してみようか」という心理的ハードルを下げる効果があります。「個別お見積もり」のみで料金を非公開にしていると、比較検討段階の見込み客が離脱しやすくなります。
「月額〇〇円〜(売上規模・訪問回数により変動)」といったレンジ表記や、プランごとの対応内容を明示する方法が有効です。料金の透明性を打ち出すこと自体が差別化軸になり、価格感度が高い見込み客へのアピールにもなります。
価格競争を避けるための単価設計
ポータルサイト経由や「なんでも対応します」という打ち出し方では、価格以外の判断基準が生まれにくく、値下げ圧力にさらされやすくなります。単価を維持・向上させるためには、料金体系をサービス内容と紐づけて設計することが重要です。
たとえば、基本的な記帳・申告対応を「スタンダードプラン」、経営コンサルや月次面談・補助金支援を加えた「プレミアムプラン」として分けることで、顧問先が自分のニーズに応じたプランを選べる構造を作れます。上位プランへのアップセルも自然な形で提案しやすくなります。
- 対応範囲があいまいなまま月額固定で契約し、追加業務を際限なく引き受けている
- 競合より安くすることを優先し、値上げの根拠を持てていない
- サービスの違いを説明できず、顧問先から「どこの事務所も同じ」と思われている
顧問料の見直しを顧問先関係の強化につなげる
既存顧問先への料金改定は離脱リスクを伴いますが、サービス内容の充実と合わせて提案することで納得感を高められます。値上げの前に定期面談やレポート提供など付加価値の提供実績を積んでおくことが、顧問先からの理解を得るうえでの土台になります。
また、顧問先ごとの売上・対応工数・利益率を定期的に把握し、採算が合わない契約を見直すことも健全な事務所経営に不可欠です。低単価の顧問先を漫然と抱え続けることは、高単価の優良顧問先へ割く時間を削ることにもつながります。
- 料金の目安をホームページに掲載し、問い合わせのハードルを下げる
- プラン設計でサービス内容と料金を紐づけ、価格競争から抜け出す
- 既存顧問先への値上げは付加価値の提供実績を土台に提案する
- 採算管理を定期化し、低単価契約の見直しを経営判断として行う
よくある質問
Q税理士事務所のホームページは集客に効果がありますか?
A更新が止まっている事務所では、問い合わせが月2〜3件以下にとどまるケースが珍しくありません。多くの事務所がホームページを「名刺代わり」として使っているのが実情です。
ただし、料金・実績の明示・定期的なコンテンツ更新・SEO対策を組み合わせると、問い合わせ数は大幅に改善できます。地域密着型の事務所であれば、Googleビジネスプロフィールとの併用が特に効果的です。
Q税理士が営業活動をするうえで法的に禁止されている行為はありますか?
A平成13年の税理士法改正により広告は原則自由化されましたが、日本税理士会連合会の「業務の広告に関する細則・運用指針」および税理士法第37条(信用失墜行為の禁止)により、一定の規制が残っています。
主な禁止例は次のとおりです。①事実に合致しない広告、②「相続税をゼロにします」などの誇大・誤導広告、③他事務所を貶める比較広告、④「元〇〇税務署長」など官公署役職名を強調した広告、⑤社会的儀礼を超えた金品提供(商品券プレゼント等)が挙げられます。
また、メール広告には特定電子メール法が適用され、受信者の事前同意(オプトイン)なしに広告メールを送ることは禁止されています。「還付確実」「きっと節税成功」といった表現は景品表示法(優良誤認表示の禁止)のリスクもあります。最新規制はぜひ公式情報でご確認ください。
Q顧問先ゼロの状態から開業してもすぐに集客できますか?
ASEOやSNSは効果が出るまで半年〜1年以上かかるため、開業直後にいきなり成果を出すのは難しいのが現実です。
まず取り組むべきは、Googleビジネスプロフィールへの無料登録・知人や前職関係者からの紹介・税理士ポータルサイトへの掲載の3つです。即効性を求めるならリスティング広告という選択肢もありますが、LP(ランディングページ)の準備と広告予算が必要になります。開業初期は「早く・安く・リスクが低い」手法に絞り、集客基盤が整ってから投資を拡大するロードマップを描くのが賢明です。
Q税理士紹介サービスと自社集客はどちらを優先すべきですか?
A開業直後や自社集客の仕組みが未整備の段階では、ポータルサイトや紹介サービスを初動として活用するのが合理的です。すぐに見込み客と接点を持てる点が大きなメリットです。
ただし、ポータルサイトは価格競争に巻き込まれやすく、利益率が低下しやすいという側面があります。並行してSEOや紹介ネットワークの構築を進め、自社独自の集客経路が育ってきたら徐々にポータル依存度を下げていくのが長期的に見て安定した戦略です。
Q税理士の営業代行を使うときに確認すべきポイントは何ですか?
A契約前に確認しておきたい主なポイントは以下のとおりです。
料金形態(月額固定か成果報酬型か)・契約期間・解約条件はぜひ事前に把握してください。支援範囲(SEO・広告運用・LP制作・CRMなど)と内製・外注の切り分けも明確にしておくと、認識のズレを防げます。
また、効果測定の指標(問い合わせ件数・CVR・顧問契約獲得数)と報告頻度を契約前に合意しておくことも重要です。加えて、代行業者が行う広告・勧誘が税理士法・特定商取引法・特定電子メール法の規制に抵触しないか、契約書の内容をぜひ確認するようにしましょう。(参考: 特定商取引法(e-Gov 法令検索))

SakuSakuは、採用倍率70倍を勝ち抜いた営業アシスタントが問い合わせフォームに営業文を送付する、人による問い合わせフォーム営業代行サービスです。AIではなく人が一件ずつ送信するため、フォーム入力エラーや送信できない企業が少なく、1通40円から問い合わせフォーム営業を始められます。
SakuSakuの特徴は以下の通りです。
- 完全オーダーメイドでの文面作成とリスト精査
- 定例の戦略会議を通じたPDCAサイクルの運用
- すべて人が送信することによる高い送信成功率
- アポイント創出までを二人三脚で伴走するサポート体制
紹介だけに頼らず顧問先を増やしたい税理士事務所に対し、業種・規模・地域などのターゲット条件を踏まえた文面で、問い合わせフォームから新規法人へ継続的にアプローチできます。
\ リード獲得を課題とする200社超が導入 /
まとめ:自事務所に合った顧問先獲得の方法を選んで継続する
ここまで解説してきた内容を整理し、「自分はどこから始めるか」を決断するための要点をまとめます。施策は多岐にわたりますが、大切なのは全部やろうとせず、優先順位をつけて1〜2手法を徹底することです。
- 税理士登録者数は82,233人(2026年5月末時点)で増加傾向にあり、競争は年々激化している
- 準備フェーズで「強み・ターゲット・競合・ブランディング方針」の4点を整理してから施策に着手する
- 手法の選択は事務所規模・ターゲット・予算・内製か外注かの軸で判断する
- SEO・Googleビジネスプロフィールは長期基盤、リスティング広告は即効性、ポータルサイトは初動向けと役割が異なる
- 紹介の仕組み化・金融機関連携はどの事務所にも共通して有効な基本施策
- 税理士法・景品表示法・特定電子メール法・日本税理士会連合会の広告細則をぜひ遵守する
- SEO・SNSは成果が出るまで半年〜1年以上かかるのが一般的。継続することが最大の鍵
(出典: 日本税理士会連合会「税理士登録者数」)
今すぐ着手すべきアクション3選
「何から始めればいいかわからない」という方は、まず以下の3つに絞って動き出してください。いずれも費用をかけずに今日から実行できるものです。
- Googleビジネスプロフィールに登録・情報を完全入力する(無料・即日可能)
- 自事務所の強みとターゲットを明文化し、ホームページのトップページのコピーを見直す
- 既存顧問先1社に「紹介をお願いする」ひと言を次回面談時に添える
顧問先獲得の戦略設計は、事務所ごとに最適解が異なります。自事務所の状況に合った集客戦略を体系的に考えたい方は、専門家への相談も有効な選択肢です。

