2024.06.26

インサイドセールスとは?役割からメリット、成功事例まで徹底解説

インサイドセールスとは、非対面で行う営業手法です。

一昔前は対面営業のフィールドセールスがほとんどでしたが、徐々に注目を集め、新型コロナの流行をきっかけに多くの企業に拡がりました。その効率の良さから今後も活用が期待される営業手法です。

インサイドセールスを自社で上手く活用するには、役割やメリットなどを深く理解する必要があります。

今回はインサイドセールスについて、以下を解説します。

この記事を参考にインサイドセールスへの理解を深め、効率的な売上アップにつなげましょう。

インサイドセールスの役割とは


インサイドセールスとは、電話やメール、ビジネスチャットを用いて非対面で商品を提案する営業手法をいいます。オフィスや在宅で業務に取り掛かれるため、内勤型営業とも呼ばれます。

顧客の元へ訪問して対面で営業を行うフィールドセールスとは、対になった手法です。

そして、以下の役割を担っています。

  • 効率的なリード(見込み顧客)の獲得
  • リードの育成(リードナーチャリング)
  • フィールドセールスとの連携

これから、それぞれを詳しく解説します。

効率的なリード(見込み顧客)の獲得

インサイドセールスの始めの役割は、リード(見込み顧客)を獲得することです。

例えば、架電やメールで商品の提案をすることや、問い合わせに対して即座に返信し商品の説明をするなどです。

リードの獲得には、どの営業手法でも時間と手間を有します。しかし、インサイドセールスの場合、顧客の元へ訪問することなく、架電やメールなどの非対面ツールで多くの顧客にアプローチができます。

つまり、効率的なリード獲得が可能なのです。

リードの育成(リードナーチャリング)

リードを獲得した後は、リード育成(リードナーチャリング)を行います。

リードに対して、メルマガやセミナーなどで継続的なコミュニケーションを取り、自社への信頼度を高める役割です。

商品購入の意欲が高いリードであれば、インサイドセールスからすぐに商談担当者へ引き継ぎできます。

しかし、見込みの低い顧客や過去に商談が成立しなかった休眠顧客も数多く存在します。

そういった顧客に対しても、インサイドセールスは架電やメールなどでアプローチを続け、リードになるよう促します。

フィールドセールスとの連携

一般的には、インサイドセールスがリードを育成し、商談へ進むことになれば、フィールドセールスへ引き継ぐ場合が多いです。

そのため、双方の連携が非常に重要です。

顧客情報やこれまでの経緯、ニーズなどを具体的に共有し、商談中もインサイドセールスがフォローに回れるよう準備します。

商談終了後はフィールドセールスがインサイドセールスに商談結果を報告し、さらなる情報共有とフィードバックを行います。振り返りを行うことで、今後の商談の質向上や成約率アップにつながるでしょう。

また、最近ではインサイドセールスのみで商談が完結するケースも増えています。その場合、商談数が増やせるため、売上アップが期待できます。

ただし、高額な商談は顧客も慎重になるため、フィールドセールスとの連携が最適です。

インサイドセールスとテレアポの違い


インサイドセールスは電話での営業も方法の1つとしているため、テレアポとの違いに疑問を感じる人もいるでしょう。

テレアポはインサイドセールスの1種としても考えられますが、いくつかの異なる点もあります。

2つの違いを以下の表にまとめました。

インサイドセールス テレアポ
目的 顧客との信頼関係構築 顧客とのアポ取り
使用するツール 電話
メール
ビジネスチャット
手紙など
電話
方法 商品の良さを提案し、コミュニケーションを取りながら徐々に関係性を構築 初回から商談の打診
成果の基準 商談成立への貢献度など アポの獲得数
顧客との通電率など

インサイドセールスはリードを獲得し、顧客と自社の信頼関係を構築させることが主な目的です。

一方、テレアポは架電によって顧客とアポを取ることを大きな目的としています。

また、インサイドセールスは電話、メール、ビジネスチャットなどで顧客と連絡を取りますが、テレアポは電話のみです。

さらに、インサイドセールスは商品の良さを提案しつつ、メルマガやセミナーなどでコミュニケーションを取って徐々に関係性を構築しますが、テレアポは初回から商談の打診を行います。

成果の基準も、インサイドセールスは商談成立への貢献度に対して、テレアポはアポの獲得数や顧客との通電率と大きく異なります。

つまり、インサイドセールスの方がテレアポ以上に業務の幅が広く、やや複雑なのです。

インサイドセールスの種類とは

インサイドセールスの種類には、大きく分けて以下の2つがあります。

  • 反響型営業(SDR)
  • 新規開拓型営業(BDR)

それぞれを解説します。

反響型営業(SDR)

反響型営業とは、自社を認知している顕在層に対して、電話やメールなどで商品の提案を行う営業のことです。SDR(sales development representative)PULL(プル)型営業とも呼ばれます。

顕在層とは、商品に興味を持ち、購入意欲が高い顧客のことを指します。例えば、自社のホームページや広告を見て、問い合わせや資料請求を行う顧客などです。

反響型営業はすでに顧客が自社の商品に好意的なため、比較的成約に結びつきやすいのがメリットです。

電話やメールを使い、コミュニケーションを重ねていくことでニーズを引き出し、確実に商品購入へとつなげます。

新規開拓型営業(BDR)

新規開拓型営業とは、自社を認知していない潜在層に対して、商品購入のアプローチをはかる営業のことです。BDR(business development representative)PUSH(プッシュ)型営業とも呼ばれます。

潜在層とは、現時点で商品に興味を持っていない顧客のことです。

新規開拓型営業は、難易度が高く商談に結びつくまで長い時間を要します。そのため、自社との取引でメリットの大きい、大手企業などとの成約を目的に行われる場合が多いです。

もし大手企業との取引が成立すれば、長期に渡る安定した契約が期待できます。さらに、自社の信頼度アップなど他企業へのアピールにもつながるでしょう。

インサイドセールスのメリットは

インサイドセールスのメリットは以下が考えられます。

  • 効率的にアプローチできる
  • コストを削減できる
  • 顧客情報の共有がスムーズ

それぞれを解説します。

効率的にアプローチできる

インサイドセールスの最も大きなメリットは、顧客に対して効率的にアプローチできることです。

フィールドセールスの場合、1人の顧客に会うにも移動時間がかかります。しかし、インサイドセールスでは移動時間を短縮でき、1度に複数人の顧客へアプローチが可能です。

特に、メルマガであればメール配信システムを使用し、数百や数万の顧客へ一斉にメールを送れます。

さらに、インサイドセールスはリード育成で顧客との信頼関係を築く役割もあるため、フィールドセールスが顧客の元へ訪れた時に成約しやすくなります。

つまり、インサイドセールスのおかげでフィールドセールスが購入意欲の低い顧客の元へ訪問せずに済み、チーム全体から見ても効率アップに貢献しているのです。

コストを削減できる

インサイドセールスはコスト削減にも役立っています。

インサイドセールスはオフィスや在宅で行うため、電車賃やタクシー代などの交通費が不要です。さらに、効率よく業務に取り掛かれるため、少人数でも成果を出せ、その結果、人件費削減にもつながります。

ただし、インサイドセールスのためにツールを導入する場合は、かかる費用や見込まれる売上げなどを考慮し、自社にあったプランを検討するようにしましょう。

顧客情報の共有がスムーズ

インサイドセールスは顧客情報の共有がスムーズに行えます。

フィールドセールスでは、担当者が社外を回っている場合が多く、顧客情報の共有に時間がかかったり、顧客とのやり取りの記憶が曖昧になる可能性が出てきます。

しかし、インサイドセールスはオフィスで業務を行うため、顧客情報をすぐに確認でき、電話やメールなど顧客とのやり取りを記録しやすい環境が整っているのです。

そのため、情報共有が正確且つスムーズになります。さらに、顧客とのやり取りが可視化されることで属人化の防止にもつながるでしょう。

インサイドセールスはなぜ注目されるのか

インサイドセールスが注目されている理由は以下が考えられます。

  • 顧客の意識変化
  • 人材不足の解消

それぞれを解説します。

顧客の意識変化

インサイドセールスが注目されているのは顧客の意識変化が理由です。

新型コロナの流行をきっかけに、対面だけの営業では非常時の業務に差し支えることが広く知れ渡りました。さらに、より効率的な働き方に注目が集まり、それを求める社員が増えています。

実際に、HubSpot Japanの2019年に行われたアンケート調査では、インサイドセールスを導入する企業は11.6%だったにも関わらず、2020年のアンケート調査では37.4%に増加していました。
(参考:HubSpot Japanの独自調査「日本の営業に関する意識・実態調査」

顧客の意見調査でも「訪問営業」より「非訪問営業」を好ましく思っている声が上回り、インサイドセールスが顧客にとって好意的な営業方法へと変化していることがわかります。

人材不足の解消

顧客側だけでなく、営業を行う企業にとってもインサイドセールスは必要不可欠です。その理由は、インサイドセールスが人材不足の解消につながるからです。

前述した通り、インサイドセールスは少人数でも成果が出せる営業方法です。

そして、インサイドセールスのリード獲得と育成の役割によって、訪問する顧客数を絞れるなど、フィールドセールスの負担も軽減できます。

また、インサイドセールスはテレワークで多様な働き方ができるので、小さな子どもがいる元営業職の女性や定年退職した元営業職のシニアなども働けます。そのため、働ける人の幅が広がり、人材不足の解消につながるのです。

インサイドセールスの成功事例

インサイドセールスは多くの企業で成功実績をあげています。

例えば、以下の企業などです。

  • 株式会社ビズリーチ
  • 株式会社LIFULL

ここからは、これら企業の成功事例をご紹介します。

株式会社ビズリーチ

引用元:株式会社ビズリーチ

株式会社ビズリーチは、登録された優秀な人材を企業側が直接スカウトできる、国内最大級の採用支援サービスを運用する企業です。

ビズリーチは「顧客との接点ができたらすぐにリアクションを起こす」ことを重視し、スピーディーなインサイドセールスを導入しています。

ビズリーチで行うインサイドセールスは「商談支援」「総合企画」「オンラインセールス」に分かれており、「オンラインセールス」ではクロージングまでを担います。

インサイドセールスを拡大させる中で、「フィールドセールスとの溝を生まないシステム」「ペーシングやミラーリングを取り入れたトレーニング」「独自のKPI管理」に取り組み、1年間で月の商談数を約4倍に伸ばしました。

株式会社LIFULL

引用元:株式会社LIFULL

株式会社LIFULLは、住宅・不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」を運営する企業です。

営業のブラックボックス化が大きな課題となっていたLIFULLは、インサイドセールスを導入するため、1人体制から2人体制へ営業スタイルをシフトしました。

そして、案件を7段階で分類するフェーズ管理を取り入れ、ブラックボックス化を解消。それによって、停滞している案件の進捗状況をチーム内で確認できるようにしました。

そこから、通話内容を分析しトークスクリプトの見直しなどを繰り返し行いました。その結果、LIFULLは従来の半分の人員で約2倍の成果を出すことに成功しました。

LIFULLはこれらの過程で、トーク解析AIを搭載したクラウドIP電話「MiiTel」を活用しています。

まとめ

本記事では、インサイドセールスについて役割やメリット、種類、テレアポとの違い、注目の理由などを解説しました。

インサイドセールスは見込み顧客を獲得し、育成、顧客の購入意欲を高めた状態でフィールドセールスに引き継ぐ役割があります。

テレアポとの違いは、目的や使用するツール、方法などです。テレアポはアポ取りが最大の目的ですが、インサイドセールスは幅広い業務を担うのが特徴です。

インサイドセールスの導入により、効率的な営業が可能となり、コストの削減、顧客情報の共有がスムーズになります。また、企業の人材不足を解消するなどに役立ちます。

すでに多くの企業で取り入れられており、成功事例も多い営業方法です。これからも各社でインサイドセールスを導入した効率的な商談成立が期待できるでしょう。