本記事ではカジュアル面談で聞くべき質問内容を複数ご紹介します。
カジュアル面談は採用選考以前に企業と候補者がカジュアルな雰囲気のなかで話し合う貴重な機会です。
通常、採用に直接かかわる工程ではなく、あくまでお互いの本音を聞くことが狙いのため、採用面接のような堅苦しい質疑応答にならないように気を付ける必要があります。
しかし、それと同時に企業側は候補者の情報を収集し、求めている人物像とマッチする人材を見つけたり、自社をアピールしたりする必要があります。
京都大学卒業後、株式会社リンクアンドモチベーションにて大企業を中心とした採用戦略の策定/実行に従事。現在はサクルートにて様々な企業のダイレクトリクルーティングを支援。
カジュアル面談とは
カジュアル面談とは、正式な採用面接とは異なり、リラックスした雰囲気で行う非公式な面談のことを指します。
この面談は、企業と候補者がお互いを理解しやすくするための場であり、通常はカフェやオフィス内のリラックスした環境で行われます。
カジュアル面談の目的は、フォーマルな採用プロセスとは異なるアプローチで、双方が自然体でコミュニケーションを取ることにあります。
カジュアル面談で聞くべき質問内容
カジュアル面談で聞くべき内容をご紹介します。ぜひ活用してみてください。
今までの経歴
募集しているポジションと関係のあるバックグラウンドを持っているかどうかを確認するため、まずは候補者の経歴を確認しましょう。
いきなり経歴について説明をさせるのではなく、お互いの自己紹介の中で、または自己紹介後に質問するといいでしょう。
いきなり詳細を詰めた質問をすると、候補者にプレッシャーを与えてしまうので、あくまで簡単な自己紹介の一部として聞くことが大切です。
現在持っているスキルや経験
経歴について確認することができたら、その経歴の中で得たスキルや経験についても質問してみるとよいでしょう。
候補者の経歴に加えて、実際に保有している能力を知ることで、よりポジションにフィットした候補者を見つけることができます。
今後の展望
候補者が今後のキャリアについてどのように考えているのかを知ることも採用においては非常に重要です。
候補者のビジョンを知ることで、企業が自社のアピールをする際に、目標実現のために企業が何を提供できるのかという点は候補者の注意を惹く大きな要素となります。例えば、以下のような質問がおすすめです。
現在の就職・転職活動の状況
自社に関しての意見を引き出すのと同様に、ほかの企業にどの程度アプローチしていて、選考がどれくらい進んでいるのかについても質問してみましょう。
候補者の転職活動の状況を知ることで、本腰を入れて転職活動をしているのか、転職を考えている程度の段階なのかなど、転職に対する本気度を知ることができます。
また、転職の業界が絞られているケースでは、他社と比べて自社の強みをアピールするなど、アプローチの仕方も絞ることができます。
転職をする際に求めるもの
今後の展望を聞くのと同様に、候補者が次のポジションに何を志望しているのかを知ることは、採用において非常に有意義であるといえます。
その候補者の重点が、キャリアアップにあるのか、給料にあるのか、福利厚生を求めているのかによって、企業側のアピールポイントも変わってきます。
現在勤めている会社での悩み
転職を考えている方であれば誰しも、現在のポジションまたは企業自体に何かしらの悩みや迷いを抱えています。
自社の環境や募集ポジションが本当にその候補者のビジョンにマッチしているのかということを考えるうえで、現職において抱えている問題点を知ることは重要な判断材料となります。
自社に対しての悩みや疑問点
現在勤めている会社についてのみならず、自社について懸念されていることや、疑問に思われていることを知り、面談の中でそれらを解消しておくことも大切です。
本選考が始まる前に自社に関する質問事項や、転職することで候補者にとって状況が改善する見込みがあるのかを明確にしておくことで、今後の候補者の選考へのモチベーションを高めるとともにスムーズな採用が見込めます。
企業の環境に対する理想
採用後のミスマッチを防ぐためにも、募集しているポジションの業務内容だけではなく、会社自体の雰囲気と候補者の理想がマッチしているのかどうかを明らかにすることは重要です、
現在勤めている企業の環境やそれについて候補者がどのように考えているのかも併せて質問することで、候補者の理想とする環境を明確にすることができます。
転職を考えている理由
転職の理由は現在候補者が悩んでいることと、次のポジションに対して何を期待しているのかということを合わせて知ることができます。
しかし、この質問は面接時に聞かれるような内容であるため、カジュアル面談の中で候補者に緊張感を与えやすいです。そのため、いきなり聞くのではなく、ある程度お互いのことを知り、打ち解けた段階で質問するといいでしょう。
カジュアル面談当日の流れ
ここまで、面談の中で質問するトピックについてみてきました。
本章では、実際に当日どのような流れで面談を進めていくのか流れを確認していきます。
それぞれ詳しく見ていきましょう!
お互いに自己紹介をする
採用面接前の面談とはいえ、企業側と初めて直接対話をする機会であるため、緊張やプレッシャーを感じている候補者も多いと思います。
そのため、自己紹介を通して面談担当者と候補者間のテンションをほぐしていきましょう。
キャリアに関することだけでなく、趣味の話やプライベートな内容についても積極的に言及していくことで、緊張感をやわらげ、カジュアルな雰囲気を作っていきましょう。
今回面談をするために声をかけた理由を説明する
面談するにあたって、候補者のどのような点に魅力を感じたのかを伝えておくことも、候補者の不安を和らげるうえで非常に有効です。
数ある応募の中から、企業側が候補者のどのような点に関心をひかれたのかを伝えることで、候補者も自信をもって面談にのぞむことができ、本音を引き出しやすくなります。
面談をする目的を伝える
カジュアル面談の目的はあくまで、お互いについて情報交換をする場であり、採用に直結することはないという点を事前に説明しておきましょう。
面談内の質問内容によっては、どうしても面接のような印象を与えてしまうことがあると思われます。
しかし、そのような場合でもカジュアルな面談であるという点を事前に強調して知らせておくことで、候補者も緊張しすぎることなく質疑応答ができます。
現在置かれている状況や要望を確認する
候補者の現在の状況と、次のポジションにおいて何を期待しているのかを確認しましょう。
ここで候補者の気持ちについて詳しく知ることで、以降企業側が何をアピールしていくべきなのかということが明確にすることができます。
現在の状況のどのような点に不満を感じており、今後、転職を通してどのような改善を望んいるのかをできるだけ詳しく確認しておきましょう。
自社の強みと面談者の要望のマッチしている点を伝える
面談を通して知った候補者の希望を踏まえて、自社が提供できることや、マッチしている強みをアピールしましょう。
ここでは、自社の強みをランダムに伝えるのではなく、候補者の要望とマッチしている点にフォーカスして話すのがポイントです。
候補者から聞いた内容によって臨機応変にアピールポイントを変えていく必要があるため、面談担当者にとっては非常に難易度の高いパートとなっています。
しかし、事前に候補者について調査をしたうえで、ある程度紹介する内容を想定しておくことで、効果的なアピールができます。
今後選考に進んでもらえるかの意思確認を行う
最後に、本日の面談を通して、候補者に引き続き選考に進む意思があるかどうかも確認しておきましょう。
お互いが本音で面談に臨んだ結果、気持ちに何かしらの変化が生じることは十分考えられます。
今後も選考に参加する意思があるという候補者にはこのタイミングで、以降の選考フローの日程確認をしておくといいでしょう。
カジュアル面談で伝えるべき内容
カジュアル面談では、候補者に対して企業の魅力を伝えつつ、リラックスした雰囲気でお互いを知る機会を提供することが重要です。以下に、カジュアル面談で伝えるべき内容をまとめました。
自社のビジョンやミッション、仕事のやりがい
転職希望者のなかには、給与などの条件面だけでなく企業が掲げているビジョンやミッション、入社後に任される仕事のやりがいを重視する人が増えています。そのため、カジュアル面談を通じてそれらをしっかりと伝えられれば、知名度の低い企業であっても優秀な人材に入社してもらえる可能性があります。
また、ビジョンやミッションに共感する人材は長期雇用に至る可能性が高いです。以上のことから、カジュアル面談では自社のビジョンやミッションなどを必ず話すようにしましょう。
価値観や企業文化
価値観や企業文化を伝えることも、カジュアル面談において大切なポイントです。組織の一員として働くからには、価値観や文化に馴染めなければ仕事そのものへのモチベ―ジョンが低下する恐れがあります。
求人を見ただけでは価値観や企業文化は伝わりにくいため、カジュアル面談を通じて理解を深めてもらうと良いでしょう。
福利厚生・勤務形態
コロナ渦の影響により働き方が多様化した昨今では、福利厚生はもちろん勤務形態への関心が高い求職者も少なくありません。リモートワークやフレックス制度の可否を伝えるようにしましょう。柔軟な働き方ができる職場環境であるほど、求職者からの印象が良くなりやすいです。
また、福利厚生も求職者にとって気になるポイントのひとつなので、忘れずに伝えてください。
カジュアル面談の失敗を防ぐためのコツ
カジュアル面談は候補者の本音が聞きやすく、企業側が直接アプローチできるという点でメリットがある一方で、候補者一人一人に対して面談をするため、非常に工数のかかる採用戦略です。
そのため、面談一つ一つをできるだけ効果的に進めていくことが求められます。本章ではカジュアル面談を成功させるために注意するべき点についてご紹介します。
どちらかが一方的に話しすぎないように気を付ける
カジュアル面談の最大の目的の一つは候補者と面談担当者がお互いの情報を交換することにあります。
そのため、どちらか一方が会話を独占してしまうと、相手に情報を押し付けられたという印象を与えてしまいます。
一方的な自社の説明会や、質疑応答を中心とした採用面接とは異なり、対話の場であるということを念頭に置いて面談を進めていくことが大切です。
質問するというよりも会話をするということを意識する
カジュアル面談は企業側が質問をし候補者が答える質疑応答の形式ではなく、会話を通してお互いの気持ちを確かめるというスタイルで進められる必要があります。
質疑応答という形式で進めてしまうと、候補者に面接的な印象を与えてしまい、本音で会話がしづらい雰囲気が生まれてしまいがちです。
カジュアル面談のメリットを最大限に生かすためにも、会話ベースで候補者について知っていくことが大切です。
自社の強みだけをアピールしすぎないようにする
カジュアル面談は企業が個人に直接アプローチすることができる貴重な機会です。
そのため、優秀な人材に対して、自社の強みを積極的にアピールすることはもちろんですが、企業にとって都合の良いところだけでなく、足りていない部分まで伝えることも重要です。その際にこれからの展望についても触れられると効果的でしょう。
自社の弱についても隠すことなく言及することで、候補者からの信用も得られます。
自社の弱みもしっかりと伝え、改善するためにどのようなことを検討しているかも伝える
現時点での自社の抱えている課題を候補者に伝え、企業がその課題解決に向けてどのように対応していくのかということを提示することも伝えておきましょう。
企業研究が進んでいる候補者の中で、企業が抱える課題について企業がどのように考えているのかということに関心を持っている人は少なくありません。
そのため、企業側もそれに対して懸念をしていて、対策を検討していることを伝えておくことで、候補者に安心感を与え、自社に対する理解を深めるきっかけになります。
面談者の事前情報をもとに様々なエピソードを用意する
カジュアル面談では、候補者個人に寄り添ったアプローチをすることが効果的です。
しかし、面談を通して知った候補者の本音や人間性に応じて、臨機応変に自社のアピールポイントを話すというのはなかなか難しいと思います。
そのため、事前に候補者の情報に目を通し、転職へのモチベーションや考え方などから、マッチすると思われる自社の強みを想定しておくことが大切です。
そして、その強みの部分を補強するエピソードをいくつか事前に準備しておくことで、スムーズかつ有意義な面談が期待できます。
採用担当以外に面談者にマッチしそうな人と会話をしてもらう
カジュアル面談は採用面接ではないため、面談担当者も人事担当者や採用担当者である必要はありません。
自社の雰囲気や実際の現場の状況について詳しい社員や候補者の興味に応じて精通している社員に面談に参加してもらうことで、よりリアルな現状を候補者に伝えることができるとともに、候補者の関心をより高めることが期待できます。
面談の最後には次の予定について話しておく
面談の最後に、今後の採用フローの日程について説明しておきましょう。
積極的に転職活動を行っている候補者は他社の選考の予定も多いため、早めに日程について伝えておくことで、自社に対する候補者のモチベーションを保つとともに、採用のチャンスを高めることができます。
まとめ
カジュアル面談は企業と候補者がカジュアルな環境でお互いの本音を聞くことができるという点が最大のメリットです。そのため面談自体は質疑応答形式ではなく会話形式で進めること、また、そのうえで質問内容についても面接とは差別化することでより有意義な面談となります。
工数のかかる採用戦略ではあるものの、候補者は企業に対して求めていることを本音で話し、企業は候補者一人一人に対して個別のアプローチで自社の強みをアピールしていくことで、両社にとってのミスマッチを防ぐとともに、以降の選考を効率的に行うことができます。
本記事を通して、カジュアル面接の質問内容や、成功させるための注意点についてご理解を深めていただけましたら幸いです。