【人事向け例文あり】内定辞退メールへの返信方法!引き留めたい時や承諾するときのポイント、内定辞退者が増加傾向にある背景を徹底解説

内定辞退メールへの返信方法

近年は中小企業を中心に売り手市場の傾向が強まっており、複数社から内定をもらう求職者が増加傾向にあります。そのため、内定辞退メールを受け取る機会が増えて頭を抱える採用担当者も増加傾向にあるといえます。

内定辞退が発生すると、新たな採用をするなどコストがかさみ残念な気持ちになりますよね。

しかし、今後仕事で関わる可能性もあるため丁寧な対応が求められます。また内定辞退の意思を覆すことは簡単ではないことは承知したうえで、「可能なら引きとめたい」と考える採用担当者もいることでしょう。

本記事では、内定辞退メールの返信例文とポイントを、承諾する際と引きとめる際の2つのシチュエーションに分けて解説します。

ポイントや内定辞退率を下げる方法もまとめたので、最後までご覧ください。

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監修者
中野 源一の写真
中野 源一

慶應義塾大学卒業後、株式会社リクルートキャリアにて累計100社以上の採用コンサルティングに従事。現在はサクルートにて様々な企業のダイレクトリクルーティングを支援。

目次

内定辞退メールに対して返信する際のポイント5つ

内定辞退メールに対して返信を行う際のポイントは、以下の5つです。

基本的に内定辞退のメールが届いた場合、到達時点から企業の意思に関係なく2週間後に内定が解消されます。ただし、この2週間中は内定関係にあるため、この間に説得ができれば内定辞退を考えている求職者を引き留められるかもしれません。

詳細を見ていきましょう。

求職者からの印象が悪くならないよう返信メールは必ず送る

内定辞退のメールが届いた場合、到達した時点から早めに返信メールを送ることが重要です。

就活生や求職者はシビアな環境の中で仕事探しをしているため、少しの返信の送れに対して強い不安を感じる傾向にあります。「対応が悪かった」とSNSや口コミサイトに評価を書かれると、次回の採用成功率に関わります。

内定辞退のメールが到達した時点で企業の意思に関係なく2週間の予告期間を経た後内定辞退が確定するため、返信はしなくても罪に問われることはありません。しかし企業の印象を悪くしないよう、返信は早めに行うようにしてください。

承諾メールを送る際は、応募への感謝の気持ちも同時に伝えましょう。

悪い情報はすぐに出回ることを意識し誠実な対応を心がける

怒りや不満などを直接内定辞退者にぶつけるなど、感情的な返信を行うと自社の評判が大きく落ちます

1人1台スマホを所持している時代です。各会社の口コミ評判を重要視しながら、就職活動や転職活動を行っている求職者も少なくありません。誠実な対応を心がけることが重要です。

また内定辞退者に対して、「もう自社とは関係ない」と思ってはいけません。内定辞退のメールが届いた時点から2週間は内定関係にあるため、内定辞退が確定するまでは少なからず関係はあるといえます。

応募者の気持ちになりメールを作成する

応募者の気持ちになりメールを作成し、円満にやりとりをするよう心がけることが重要です。

最終面接までいき内定を得たということは、求職者にも働く意思があったと考えられます。何らかの事情で内定を辞退することになった求職者は、心苦しさを感じている可能性が高いといえるでしょう。

応募者の気持ちに寄り添い対応することで、自社に対してポジティブな気持ちを持ってもらえる可能性があります。何らかの手段で自社に貢献してもらえる可能性もあるため、丁寧な対応は重要といえます。

ただし応募者の気持ちに寄り添うことは、内定辞退を承諾することではありません。応募者が内定辞退に至った理由を素直に受け止め、その理由を排除できれば、引き留めに応じてくれる可能性も0ではないです。

内定辞退における法律を理解しておく

内定辞退における法律を理解しておくことも、返信メールを送る上で知っておくべきポイントといえます。

  • 内定辞退は原則入社の14日以上前であれば企業の意思に関係なく内定関係が解消される
  • 内定辞退の旨が企業に到達した時点から2週間は内定関係にある
  • 信義則上の義務に著しく違反している内定辞退であった場合のみ損害賠償が可能である
  • 企業が内定者に対して辞退を促す「内定辞退の勧奨」は違法にあたる
  • 内定承諾書に法的な拘束力はない

内定辞退は入社の原則14日前以上に申請することで、内定者の一方的な意思により内定関係の解消が可能です。企業に告知が到達した時点から2週間の予告期間を経た後に、内定関係が解消されます。

内定辞退者にやむを得ない事情がある場合は、2週間を切っていても内定辞退が可能です。こちらも違法性はありません。信義則上の義務に著しく違反している場合は内定辞退者に対して損害賠償が可能となるケースもありますが、非常に希です。

また、企業が内定者に対して辞退を促す内定辞退の勧奨は違法となりました。内定辞退メール後も2週間は内定関係にあるとされるため、内定辞退メールにおいて辞退の勧奨はリスクがあるといえます。控えましょう。

内定辞退を考えている求職者を引き留められる可能性もある

内定辞退メールを送った求職者を引き留めることは、違法にはあたりません。内定辞退に至った理由を分析し、その理由を排除できれば、内定辞退を取り消しできる可能性があります。

内定辞退メールを承諾する場合、引き留める場合のそれぞれの返信例文とポイントを、次の章から紹介します。

承諾する場合は「【例文あり】内定辞退に承諾する際の返信文とポイント」、引き留めたい場合は「【例文あり】内定辞退を引き留める際の返信文とポイント」をご覧ください。

【例文あり】内定辞退に承諾する際の返信文とポイント

最初は内定辞退を引きとめず素直に承諾する際の返信文を紹介します。

内定辞退に承諾する際の返信文章とポイントをまとめました。詳細を見ていきましょう。

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【例文】内定辞退に承諾する際の返信

(件名)内定辞退承諾の件について

××(内定辞退者の名前)様

お世話になっております。
株式会社〇〇 採用担当 △△と申します。

この度は、多くの求人の中から弊社へご応募いただき
誠にありがとうございました。

弊社としては大変残念ではございますが、内定をご辞退するとのお申し出を承りました。

これまでにお預かりした応募に関する書類は、弊社にて責任を持って破棄させていただきます。
なにとぞご了承くださいませ。

××(内定辞退者の名前)様の今後のご活躍を、心よりお祈りしております。

【伝えるべきポイント】

  • 応募してくれたことに対しての感謝の気持ちを述べる
  • 内定辞退を承諾する旨を伝える
  • 応募書類の取り扱いを伝える

ポイント1.感謝の気持ちを伝える

応募してくれたことに対して、企業としての感謝の気持ちを伝えましょう。

内定辞退をする側としても、企業に対して連絡を送るのは大変心苦しい状態である可能性が高いです。就活・転職活動自体がシビアな環境である中、内定辞退のメールを送るのは精神的にもつらい状況であると考えられます。

感謝の気持ちを述べることで、就活生から企業に対しての印象がアップするでしょう。

企業としては内定辞退が起きると新たな採用をするために大変な労力がかかりますが、今後のためにも感謝の気持ちを述べて次に繋げることが望ましいです。「今後の〇〇(内定辞退者)様のご活躍をお祈りいたします」など、内定辞退者の立場を考えて返信文を考えましょう。

ポイント2.必要事項を記載する

必要事項を簡潔に記載します。内定辞退メールに記載すべき項目は、次の3つです。

  • 感謝の気持ちを述べる
  • 内定辞退を承諾した旨を簡潔に記載する(残念であることも伝える)
  • 履歴書など応募にかかった書類の取り扱い方法について記載する

基本的には、これらの3つが記載されていれば内定辞退メールの返信としては充分です。履歴書など個人情報については、募集要項に記載したとおりに対応します。応募者が返却を申し出た場合は、返却する旨を記載しましょう。

返却不可としている場合は、「募集要項に記載したとおり、応募書類の返却は致しかねます。弊社で責任を持って破棄いたしますのでご了承ください。」と伝えます。

その他企業として伝えなければならないポイントがあれば、完結に伝えましょう。

ポイント3.メールは新規作成をし件名はシンプルにする

内定辞退は重要なメールであるため、新規作成をしたうえでシンプルな件名で送信することが望ましいです。なお、内定辞退メールへのテンプレートを使用する場合は、応募者名を記入する部分や日付など変更すべき部分の変更がなされているかを確認してください。

内定辞退を承諾する場合は、「内定辞退承諾の件について」と承諾した旨を記載し送信します。

【例文あり】内定辞退を引き留める際の返信文とポイント

次は内定辞退を引き留めたいと考えている企業向けに、返信文とポイントをまとめました。

内定辞退メールを送る応募者は、強く意思がかたまっているケースが多い傾向にあります。また、一度内定辞退メールを送った企業に対して、気まずさを抱える内定辞退者も少なくありません。

内定承諾メールよりも、より内定辞退者の立場に立ったメールの作成を考える必要があります。詳細を見ていきましょう。

【例文】内定辞退を引きとめる際の返信

(件名)内定辞退の件について

××(内定辞退者の名前)様

お世話になっております。
株式会社〇〇 採用担当 △△と申します。

この度は、内定通知に対してのお返事をいただき
誠にありがとうございます。

大変恐れ入りますが、もしよろしければ
内定をご辞退になる理由について、もう少し詳しくお聞かせ願えませんでしょうか。

難しいお願いとは重々承知しておりますが、弊社としてはぜひ××様と共に働きたいと考えております。
もしご検討いただく余地がございましたら
待遇、勤務環境、条件に関して可能な限り調整をしたいと考えております。

つきましては、再度面談の機会をいただきたく、
ご都合の良い日程をいくつか教えていただけると幸いです。

もし対面での面談が難しい場合は、オンライン面談、もしくはお電話などで
お話できる日をいただければと思います。

お忙しいところお手数おかけ致しますが、
なにとぞご検討のほどよろしくお願い致します。

【伝えるべきポイント】

  • 内定辞退メールを送ってくれたことに対しての感謝の気持ちを述べる
  • 企業として共に働きたいと考えていること
  • 労働環境など条件を可能な限り調整する意思があること
  • 面談日程の調整を行うため面談が可能な日付を教えて欲しいこと

ポイント1.企業の意思を伝える

内定辞退メールに対して、企業の意思を伝えます。以下のポイントを意識して、文章を作成しましょう。

  • 企業としてはぜひ共に働きたいと考えており受け入れる準備ができていること
  • 内定辞退の理由に関して、可能な限り排除する努力をする姿勢があること
  • 条件や環境について調整する意思があること

内定辞退者は、複数の企業を天秤にかけ1番自身に合う企業の内定を受け入れます。内定辞退者がもらった内定の中で、何かしらの項目で条件が良ければ考え直してもらえるかもしれません。

ポイント2.長文メールは避けて簡潔なメールを送る

内定辞退メールを送った時点で既に内定辞退者の中は、「するべきことが終わった。後は承諾メールを待つだけ」といった段階です。意思がかたい状態であるため、長文のメールは「うっとうしい」と思われる可能性が高いでしょう。

文章だけだと、誠意や意思が見えにくいです。基本的には、日程の調整を検討してもらうだけにとどめると良いといえます。

条件の変更がどの程度まで可能か具体的な内容がある場合で、その変更内容が内定辞退者にとって魅力である場合、具体的な条件を少し記載するのも戦略のひとつといえるでしょう。

ポイント3.応募者の気持ちに寄り添った返信を行う

応募者の気持ちに寄り添い、無理な引きとめは行わないようにしましょう。メール、電話、対面などどのやり方であっても、内定辞退者を無理に引きとめると自社の悪印象に繋がります。

やんわりと内定辞退の理由を聞き、内定辞退を引きといめ、それらを断られた場合は素直に引き下がることが重要です。

内定辞退を確実に引きとめる方法はありません。「内定辞退が取り消してもらえたら御の字」くらいの気持ちで返信メールを送ることで、感情的になったり、応募者を問い詰めたくなったりする気持ちは消えるでしょう。

内定辞退を防ぐ方法

内定辞退率が高い企業の場合、どの時点で内定辞退が発生しているのかを分析する必要があります。

内定辞退の主な理由を知り、自社に当てはまっている項目がないかを確認することが重要です。そもそもの内定辞退率を下げるための手段を、以下にまとめました。

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内定辞退の理由を知る

内定辞退者は年々増加傾向にあります。近年、主に中小企業では売り手市場の傾向があり複数社から内定をもらう求職者が増えているのが現状です。

そのため自社の採用方法が以前と変わっていなくても、内定辞退率が上がる可能性が高いといえます。

時代に合わせた採用方法を行うことで、自社の内定辞退率を下げられるでしょう。主な内定辞退の理由は、以下です。

  • 他の魅力的な企業から内定をもらった(第一志望や条件が良い企業)
  • 希望の職種ではなかった、希望する職種や業界が変わった
  • 事業や戦略に対してイメージが湧かなかった
  • 留年した、大学院に進学することになった(新卒の場合)
  • 家族から反対された
  • 求人情報に掲載されている情報と違う面があった
  • 選考のプロセスの中で悪い印象を持った
  • 給料や労働面など待遇面で折り合いがつかなかった(転職の場合)

これらを可能な限り排除することで、内定辞退率は下げられるといえます。

求職者の立場になり自社の採用過程を見直す

求職者の立場になり、自社の採用過程を見直すことで内定辞退者を減らすことができます。母集団形成の質を見直すことで内定辞退者を減らすことも可能なので、初期の段階からのフローを見直しましょう。

【母集団形成】

  • 母集団形成の質は良いか
  • 自社とマッチングする人材を集められているか

【選考過程】

  • 選考過程で自社の魅力を伝え切れているか
  • 社風を伝えられているか
  • 面接態度が悪くないか、高圧的ではないか
  • レスポンスは早いか
  • 求職者から信頼される対応をしているか
  • 選考過程が長すぎないか

【内定後】

  • 内定から入社までの期間が長くないか
  • 内定通知後の対応が悪くないか

質の良い母集団形成に関しては、以下の記事で詳しくまとめています。こちらも合わせてご覧ください。

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求人掲載文章を見直す

求人掲載文章を見直します。自社の魅力を伝え切れているか、自社とマッチする人材が集まる文章になっているか、デメリットもきちんと記載されているかを見ていきましょう。

求人掲載文章においては、以下の点を確認しましょう。

  • 求職者が自分の未来像を想像できる内容が書かれているか
    └実際の業務内容の他、事例など
    └求職者が共感できる内容か
  • どんなターゲットを求めているかが書かれているか
    └年齢、スキル、人柄、性格など
    └どんな人には向いていないかも明確に書かれているか
  • 分かりやすく簡潔に書かれているか
  • 実際の労働環境と違う部分がないか、勘違いされる文章でかかれていないか
  • 基本的な条件を分かりやすく書いているか
    └業務内容、雇用期間、就業場所、賃金、環境、加入保険、雇用形態など

良いところばかり掲載していると、内定後に「合わない」と感じる応募者が増えるため辞退率が高まります。

応募したくなる魅力的な条件や文章も重要ではありますが、正直に書かなければ最終的に入社する人材は少なくなるでしょう。向いていない人、自社のデメリットも記載することで、内定辞退率を下げられます。

内定後フォローを手厚くする

内定後に何もフォローがない場合は、内定辞退率が高くなる可能性があります。内定が確定した後、何月頃に内定辞退が多くなるのかを分析することでフォローするタイミングや内容も分かるでしょう。

また自社の社員との関わりが持てる機会を増やし、内定者に「この企業なら働きやすそう」と思ってもらうことで、内定辞退を防げます。内定者フォローの例を、以下にまとめました。

【内々定~内定式】

  • 社員と交流できる座談会
  • 内定者懇親会
  • 個別の面談

【内定式後から入社】

  • 内定者研修
  • 社内イベント

内定者フォロー、求人掲載文章、母集団形成は、ノウハウがなければ成果を出せません。ノウハウを蓄積するためにも、プロからアドバイスをもらったり、代行してもらったりすることがおすすめです。

採用代行、ダイレクトリクルーティングサービスなどへ依頼をすることで、自社に採用のノウハウが蓄積できるでしょう。採用代行サービスの利用は、人件費の削減、ノウハウの蓄積、成果が期待できるなどのメリットがあります。採用に悩んでいる企業は、検討してみましょう。

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内定者辞退メールへの返信は自社の印象を左右する!

内定辞退メールへの返信は、自社の印象を大きく左右する可能性がある重要なものです。本記事で紹介した内容を参考に、応募者の立場に立った返信を心がけましょう。

内定辞退者を引きとめる最後のチャンスにもなるため、社内で検討を重ねて返信内容を決めることがおすすめです。

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