採用代行が違法行為となるケースとは?届出の出し方や必要書類・論点となる委託募集の意味・注意点を徹底解説

採用代行サービスの導入を検討する企業が年々増える中、「採用業務を外部に委託することに法的な問題はないのか?」という懸念を抱く担当者も数多くいらっしゃいます。

実際のところ、厚生労働大臣からの許可が必要となる採用代行業務が存在するのは事実です。

この記事では、採用代行が違法行為となるパターンや、採用代行サービス利用時に必要な手続きの進め方について詳しく解説していきます。

記事を最後までお読みいただくことで、自社が委託を予定している業務に許可が必要かどうか、また許可が必要な場合にはどのような対応を取るべきかといった疑問を、すっきりと解決していただけるはずです。

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監修者
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下村 風香

京都大学卒業後、株式会社リンクアンドモチベーションにて大企業を中心とした採用戦略の策定/実行に従事。現在はサクルートにて様々な企業のダイレクトリクルーティングを支援。

目次

採用代行とは?違法性があると認められるケース

最初は採用代行の意味と、採用代行において違法性が認められるケースを解説します。

違法性が認められる採用代行を行わないためにも、それぞれ確認しておきましょう。

採用代行とは

採用代行とは、自社で行っている採用関連業務を外部の専門業者に委託することを意味します。採用プロセス全体を一括して依頼する場合もあれば、特定の工程だけを部分的に外注するケースも採用代行に含まれます。

採用業務を外部パートナーに任せることにより、中核業務への集中時間の確保、採用に関する専門的ノウハウの獲得、採用活動の品質向上など、多様なメリットを享受できるといえるでしょう。

企業の採用業務を支援する採用代行サービスの数も右肩上がりで増えており、採用活動の外部委託を選択する企業も着実に拡大している状況です。

採用代行を利用するにあたり違法になるケース

採用代行を行ううえで違法になるケースを、以下にまとめました。

  1. 採用代行サービスの内容が委託募集に該当している場合に、受託企業と委託企業が届出(許可申請)を出していないケース
  2. 許可申請書の内容に虚偽の記載があるケース
  3. 許可がくだる前に委託募集を開始するケース
  4. 求職者の個人情報を適切に管理できていないケース
  5. 依頼する業務内容が労働基準法など労働に関する法律に違反しているケース

※参考:厚生労働省「募集・求人業務取扱要領

上記のように職業安定法など職業関係法に違反している場合は、罰則が下される可能性があります。詳細は厚生労働省「募集・求人業務取扱要領」をご覧ください。

本記事では、①の委託募集に関して詳しく解説します。

違法性のある採用代行の論点は「委託募集」

違法性のある採用代行の論点は、「委託募集」にあります。委託募集の定義、委託募集に該当する業務、届出の必要性について詳しく見ていきましょう。

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委託募集の定義

委託募集の定義は、職業安定法第三十六条に定められています。

労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときは、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
② 前項の報酬の額については、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
③ 労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えることなく労働者の募集に従事させようとするときは、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

引用:G-GOV 職業安定法 第三十六条

被用者(使用者から報酬を受け取り労働する者)以外の者に労働者募集の業務に従事させる場合は、厚生労働大臣の許可が必要です。被用者以外の者に報酬なしで従事させる場合は、厚生労働大臣への届出が必要です。

ただし①スカウト行為を事業として行う場合、②募集受託者が職業紹介事業の許可を受けている場合の2つのケースでは、いくつか留意点があります。厚生労働省の募集・求人業務取扱要領をご確認ください。

※参考:厚生労働省「募集・求人業務取扱要領 3委託募集

委託募集に該当する業務と該当しない業務

委託募集に該当する業務と、該当しない業務を見ていきましょう。

  • 委託募集に該当する業務
    └①労働者募集
    └②選考
    └③採用活動など採用の要となる業務
  • 委託募集に該当しない業務
    └自社で採用基準を明確に決めたうえで依頼した場合
    └職業紹介、人材紹介など職の斡旋を行うサービス
    └募集や選考を自社で行う場合
    └採用試験問題の作成を依頼する場合など

委託募集に該当する業務

委託募集に該当する業務は、①労働者募集、②選考、③採用活動の3つが基本です。

委託先企業(受託事業者)が採用の可否について主導的な判断を行う場合、これは委託業務に該当すると解釈されます。採用代行サービスでこうした業務を外部委託する際には、厚生労働大臣からの許可を取得する必要があります。

委託募集に該当しない業務

採用の要と呼べる業務以外を委託する場合は、委託募集として扱われません。例えば人材紹介などは、職の斡旋のみで採用にかかる重要な業務を受託していないため、委託募集ではないといえます。

委託募集の場合は行政への届出が必要

委託募集を実施する際は、受託事業者と委託企業の両社が厚生労働大臣からの許可取得や届出提出を行う必要があります。

ただし、許可申請等の手続きについては、募集を受託する企業が委託元企業の代理として実施することが認められています

委託募集を行っているにも関わらず必要な届出を怠った場合、職業安定法違反と判断され処罰を受ける恐れがあるため、十分な注意が必要です。

届出の具体的な流れや許可の要件については、次の章「採用代行における委託募集の許可基準」以降で詳細に説明していきます。

委託募集に該当する業務を届出せず行った場合

委託募集に該当する業務を、厚生労働大臣から許可を得ずに行った場合は以下のような罰則がくだされる可能性があります。

届出をせずに法第36条第3項の委託募集を行った者は、6月以下の懲役又は30万円以下
の罰金に処せられる(法第65条第4号)。

許可を受けずに法第36条第1項の委託募集を行った者は、1年以下の懲役又は100万円
以下の罰に処せられる(法第64条第6号)

※参考:厚生労働省「募集・求人業務取扱要領 4労働者募集の原則

採用代行サービス利用により違法性を問われないためにも、委託募集の届出は必ず行い認可を得ましょう。

採用代行における委託募集の許可基準

採用代行を利用する上で重要なのは届出を行うことです。しかし受諾企業、委託企業ともに届出が認可されるためには許可基準を満たしている必要があります。

次は委託企業側、受諾企業側の委託募集の許可基準を解説します。

委託側の許可基準

委託側の認可基準としては、以下があげられます。健全な企業運営ができていれば、特に問題はありません。

  1. 事業主の徳性
    職業安定法など労働関係法案にかかる重大な違反がないこと
  2. 労働条件が適切であること
    ①労働条件が法律違反ではないこと(賃金を毎月支払うなど)
    ②同地域内・同業種の賃金と比較して著しく低くない水準であること
  3. 募集において業務内容や労働条件が明確であること
  4. 適用事業所について、適切に社会・労働保険に入っていること
  5. 厚生労働省が許可をした報酬以外を与えるものではないこと

※参考:厚生労働省「募集・求人業務取扱要領

受託側の許可基準

受諾側の認可基準としては、以下があげられます。労働者の募集に関して、きちんとした能力や知識があるか否かを判断されます。

  1. 事業主の徳性
    職業安定法など労働関係法案にかかる重大な違反がないこと
  2. 充分な判断能力があること
    ①成年被後見人ではないこと
    ②被保佐人でないこと
  3. 労働関係法、募集内容、職種など十分な知識を有していること

※参考:厚生労働省「募集・求人業務取扱要領

期間・報酬の認可基準

期間や報酬についても認可基準が設けられています。

  1. 期間
    募集を行う期間が1年を超えないもの
  2. 報酬
    ①支払われた額の50/100を超える報酬の場合は認可しない
    ※特別な事情(委託募集にかかる経費が特別に高額になるなど)の場合は例外

※参考:厚生労働省「募集・求人業務取扱要領

採用代行における委託募集の許可の取り方

採用代行で委託募集の許可を取得するための手順について説明していきます。全体で3つのステップに分かれているので、それぞれの詳細を見ていきましょう。

なお、委託募集については厚生労働大臣の権限が委任されており、特別な理由がない限り都道府県労働局長への届出が手続きの窓口となります。また、許可申請等の手続きについては、募集を受託する企業が委託元企業の代理として実行することができます。

※本章の手続きに関しては、厚生労働省「募集・求人業務取扱要領 03委託募集 」を参考にしています。申請方法や許可基準に関して変更されている可能性があるため、申請前に必ず最新の情報をご確認ください。

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STEP1.委託募集許可等申請書を用意する

委託募集許可等申請書を用意します。委託募集許可等申請書など委託募集関係の書式に関しては、厚生労働省公式HPですべてダウンロードが可能です。

厚生労働省「募集・求人業務取扱要領 08関係書式」をご覧ください。

以下の条件に該当する場合は、都道府県労働局長への届出の他、厚生労働大臣への届出も必要となります。

  • 1都道府県から30人以上の募集を行うケース
  • 100名以上の募集を行うケース

STEP2.必要書類を集めて申請する

必要書類が揃ったら申請を行います。

厚生労働大臣の許可にかかる提出期限は、募集を開始する月の21日前です。都道府県労働局長の許可にかかるものの提出期限は募集を開始する月の24日前です。

提出期限は厳守し、必ず認可が下りてから募集を開始しましょう。

STEP3.審査結果を待つ

審査結果を待ちます。審査結果は、許可・不可・条件付き許可の3種類です。

審査結果が出ないうちに募集を開始すると、法律違反となり罰則がくだされる可能性があります。必ず審査結果が出てから、募集を開始してください。

採用代行を選ぶ基準

採用代行を選ぶ際は、委託募集を行うか否か、綿密な情報共有が可能かなどさまざまな基準があります。委託募集を行いたいのであれば、厚生労働大臣への申請手続きを代替してくれる受諾企業を選ぶこともおすすめです。

選ぶ基準を以下にまとめました。

  • 健全な運営をしているか
    ①実績があるか
    ②許可を取り業務を行っているか
    ③採用に関しての知識を有しているか
  • 自社に合ったサービス内容か
    ①自社が依頼したいサービスがあるか
    ②自社の予算内か
    ③自社が求めるターゲットがいるか
  • 委託募集を行う場合は委託企業側の申請を代替してくれるか
  • 透明性のある採用を行っているか
    ①情報共有が正しく行われているか
    ②結果レポートの提出があるか

上記の点をメインに、採用代行サービス選びを行いましょう。

採用代行を依頼する際の3つのポイント

採用代行を依頼する際の3つのポイント

採用代行を依頼する際には下記の3つのポイントを意識するようにしてください。

ポイントが抑えられていないと、採用活動がうまくいかない場合もあるので、ぜひチェックしていきましょう。

どのような内容を依頼するか決める

採用代行への委託を検討する段階で、漠然と依頼するのではなく、具体的にどの業務を外部委託したいのかを明確に整理しておきましょう。

委託内容があいまいなままだと、依頼したつもりの業務が実際には委託範囲に含まれておらず、作業が停滞してしまうといったトラブルが発生する可能性があります。

このような事態を避けるため、どの業務を外部に任せたいのか、またどの業務が委託可能なのかを事前にしっかりと確定させることが不可欠です。

委託先とコミュニケーションをとる

採用活動を進める際、進捗状況が予想を下回っていたり、ターゲット人材の設定に誤りがあったりすると、理想的な人材獲得は困難になってしまいます。

こうした問題を未然に防ぐために、委託先との間で定期的な情報共有を行う仕組みを構築することが重要です。

継続的なコミュニケーションを維持できれば、進捗状況の把握だけでなく、採用戦略の軌道修正や専門的な採用ノウハウの蓄積にもつながるでしょう。

ペルソナを適切に設定し、共有する

採用代行を委託する際にターゲット人材のペルソナを設定していないと、委託先と自社の間で求める人材像についての理解にずれが生じ、期待する人材の確保が困難になるリスクがありますそのため、ペルソナは詳細まで設定し、代行業者と事前に綿密な共有を行っておくことが大切です。

あらかじめ情報共有が徹底されていれば、お互いの認識を容易に合わせることができ、採用活動もスムーズに進行させやすくなるでしょう。

採用代行おすすめ49社

採用代行サービスの導入を検討している企業にとって最大の課題は、「どの業者に委託するか」という選択です。採用代行サービスといっても提供内容や特色は千差万別であるため、自社のニーズに最適なサービスを見つけるには相当な時間と労力が必要になります。

下記の記事では、厳選した採用代行サービス49社の詳細比較を行っています!

対応可能なターゲット層、中小企業に適したサービスの特定、料金体系、委託できる業務の範囲など、気になるポイントを網羅的に分析しました。採用代行サービス選定における、確実な判断材料となるはずです。

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採用代行においては、委託募集に該当するかどうかが判断の分かれ目となります。委託募集に関わる業務を外部委託する際は、必要な手続きを適切に実施すれば法的な問題は発生しません

委託募集に関する申請手続きについては、受託企業が委託元企業に代わって実行することも認められています。

法的な不安がある場合は、顧問弁護士への相談や受託企業への確認を行うことをおすすめします。一般的に信頼できる募集受託企業であれば、委託募集業務を引き受ける際に適切な説明を提供してくれるでしょう。

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