スカウト型採用とは、企業から人材に直接アプローチする採用手法で、従来の求人票を出して候補者を待つ”待ちの採用”の方法では採用できなかった人材をスカウト型の”攻めの採用”で採用が可能になります。
この記事を最後まで読み、スカウト型採用の戦略を立てることで、より良い採用が可能になるでしょう。
京都大学卒業後、株式会社リンクアンドモチベーションにて大企業を中心とした採用戦略の策定/実行に従事。現在はサクルートにて様々な企業のダイレクトリクルーティングを支援。
スカウト型採用とは?
スカウト型採用とは、会社から求職者(人材)に直接就職・転職のアプローチをする採用方法です。自社が求める人物像により近い優秀な人材に集中してアプローチができることが、スカウト型採用の一番の特徴でありメリットです。
採用コストが抑えられる傾向にありますが、スカウト型採用のノウハウがなければ作業コストが多くなる傾向にあります。
ノウハウがなければ時間もお金もかかる傾向にあるため、初めてスカウト型採用を実施する企業はスカウト代行サービスやツールも検討すると良いでしょう。
自社で行う場合は、スカウトメールの作成のコツを知ることが重要です。詳細は以下の記事をご覧ください。
スカウト型採用のメリット
スカウト型採用を行うメリットは、大きく分けて次に紹介する3つです。
自社でスカウト型採用を行う意味があるのかを、充分に検討することがおすすめです。
詳細を見ていきましょう。
転職潜在層へのアプローチが可能になる
人材データベースを利用してスカウト型採用を行う場合、転職潜在層へのアプローチが可能になります。潜在的に転職を考えている層が登録している就職・転職サイトの人材データベースを利用すれば、自社を知らない層にもアピールが可能になるでしょう。
ただし転職潜在層はあくまでも潜在的な転職欲であり、スカウトメールを送信しても面接までのハードルが高い傾向にあります。
転職顕在層がメインの人材データベースを利用すると、より採用成功率が上がると考えられます。
採用コストを抑えられる傾向にある
従来の待ちの採用方法は、求人広告掲載費やセミナー会場費、セミナーをする人件費、交通費など決して少なくない費用がかかります。しかしスカウト型採用は、採用が必要なときに必要なだけ利用することが可能です。
数多くの書類選考をする必要はありません。既に形成されている人材データベースから気になる人材をピックアップできるため、選考をパスできるケースも多いでしょう。
近年はスカウト代行サービスを利用することで、人事のスリム化をはかっている会社が増加傾向にあります。
優秀な人材を直接引き抜ける
優秀な人材に直接アピールできることが、スカウト型採用の1番のメリットです。従来の待ちの採用方法では、求人媒体など何らかの方法で自社を知った人でなければ応募ができませんでした。
またスカウト可能な人材データベースを提供してくれるサービスも少なく、優秀な人材を見つける術もなかった状態といえます。
しかしスカウト型採用を行えば、優秀な人材を直接自社にスカウトできます。本当に欲しければ、その優秀な人材に対して特別な好待遇条件を付けることも可能です。
また近年は経済成長が鈍化により長期雇用が傾向にあり、終身雇用の崩壊に関する話題も増加傾向です。採用における売り手市場もひとつの原因となり、転職のハードルが低くなっています。流動性の高い雇用の傾向にあるため、スカウト採用で優秀な人材を引き抜くチャンスも多くなっています。
スカウト型採用のデメリット
スカウト型採用のデメリットは、大きく分けて次に紹介する3つです。
先ほど紹介した「スカウト型採用のメリット」も参考に、充分に検討しましょう。
大量採用には向かない
スカウト型採用は個別にメール送信を行うため、大量採用には向きません。特にダイレクトリクルーティングを行う場合は、個別にメールを作成する必要があります。メール作成に工数がかかるため、時間がかかる傾向にあります。
データベースに登録された人材の中から、条件が一致する集団にまとめて送信することは可能ですが、特別感が薄れるため返信率の最大化は望めないでしょう。
新卒100人をまとめて採用するなどの場合は、従来の待ちの採用も視野に入れることがおすすめです。
作業コストが高くなる傾向にある
ひとりひとりのスキル・経歴・経験に合ったスカウトメールを作成・管理する必要があるため、作業コストがかかります。
代行サービスを利用せず自社でスカウト型採用を行う場合は、スカウトメールの作成に時間がかかるでしょう。スカウトメールはターゲットの転職意欲を刺激する文章でなければ効果が見込めません。
メールの作成も依頼可能なスカウト代行サービスもあり、役立ちます。スカウト代行サービスの利用を検討しましょう。
自社で行う場合は効果を実感するまで時間がかかる
自社でスカウト型採用を行う場合は、効果を実感するまでに長い時間がかかる可能性が高いです。スカウト型採用のノウハウがなければ、自社で試行錯誤しノウハウを集め、採用フローを確立しなければいけません。
自社でスカウト型採用を行う第一歩として、スカウトのプロであるスカウト代行サービスを利用しノウハウを集める企業も増えてきました。
なお自社でのスカウト型採用を検討している場合は、スカウトメールの作成・配信のコツを知ることが必要不可欠です。
スカウト型採用が社会で注目され始めた理由
スカウト型採用が社会で注目されている理由は、以下のとおりです。
少子高齢化に伴い労働力が不足しているから
特に先進国では、少子高齢化に伴う労働力不足が深刻化しています。そんななかで、企業は限られた優秀な人材を確保するために、積極的な採用活動が必要となっています。
また、優秀な人材を求める企業間の競争が激化しているため、従来のように求人広告を出稿して応募を待つだけではなかなか採用に至りません。そのため、企業自ら求職者にアプローチする、スカウト採用を取り入れる企業が増えているのです。
潜在的に転職を希望している層にも出会えるから
優秀な人材の多くは、転職活動を積極的に行っていない潜在層だと言われています。そのため、転職エージェントや転職サイトに登録しているケースは多くありません。スカウト採用であれば、将来的には転職を考えているものの急いでいない候補者に直接アプローチできるため、通常の求人広告では得られない人材を採用しやすいです。
潜在層の候補者は本当に興味を持った企業に絞って選考を受ける傾向にあるため、比較的辞退されにくい場合もあります。働き方や企業理念などを大切にしている場合が多く、自社について魅力的にアピールすることが大切です。
多様な人材に接触しやすいから
求人広告を公開して応募を募る場合、似通った属性の求職者ばかりが集まってしまうことがあります。その点、自社からアプローチできるスカウト型採用であれば、幅広い属性の人材の中から取捨選択してスカウトメールを送付できます。
これまでの採用手法では出会えなかった人材に接触できる可能性が高く、効率的な採用手法だと言えるでしょう。やみくもに人材を探すのではなく、事前に自社が求める人物像を明確にしておきましょう。
スカウト型採用をすべき企業の特徴
スカウト型採用を行うべき企業の特徴を紹介します。ひとつでも当てはまるものがあればスカウト型採用の導入をおすすめします。
専門性の高い人材・採用難易度が高いポジションの採用をしたい企業
エンジニアやデザイナーなどの専門性の高い人材・採用難易度が高いポジションを確保したい会社は、スカウト型採用の利用がおすすめです。専門性の高い人材は転職市場に現れにくく、また個人の能力によって業績が大きく左右される傾向にあります。
自社にマッチした人材を的確に雇用するためにも、スカウト型採用はおすすめです。
状況に応じて機転が利く採用をしたい企業
スカウト型採用は、自社が採用したい人材を見つけた際に採用が可能なので機転が利きます。スカウト型であれば、「成果報酬型」タイプもあり、自社の採用目標と合致した人材と出会え採用できたタイミングで料金が発生するのも特徴のひとつです。
知名度がまだ低く求人媒体のみでは採用目標の人数を達成することが難しい企業
知名度が低い企業は求人媒体のみで優秀な人材を確保することは難しいため、スカウト型採用も利用することがおすすめです。責めの採用であるスカウト採用を利用することで、優秀な人材に自社の存在を知ってもらうこともできるでしょう。
スカウトメールを作成する手間やコストはありますが、求人媒体のみでの採用よりも優秀な人材を手に入れられる期待が高まります。
おすすめのスカウト型採用サービス3選
最後はおすすめスカウト型採用サービス3選をご紹介します。
サービス名 | Wantedly | OfferBox | |
---|---|---|---|
運営会社 | ウォンテッドリー株式会社 | 株式会社i-plug | リンクトイン・ジャパン株式会社 |
ユーザー数 | 350万人以上 | 23.7万人以上 ※学生メイン | 300万人程度 ※アクティブユーザーの推測値 |
料金 | 月額5万円~※要問合せ | 早期定額型or成功報酬型 1名採用38万円~※公式HP要確認 | 要問合せ |
特徴 | スカウト返信率20%!採用成功の期待がもてる | オファー開封率は89%!自社を知ってもらえる機会が増える | 世界中の優秀な人材に直接アプローチが可能! |
Wantedly
運営会社 | ウォンテッドリー株式会社 |
---|---|
ユーザー数 | 350万人以上 |
料金 | 月額5万円~※要問合せ |
特徴 | スカウト返信率20%!採用成功の期待がもてる |
条件、知名度、予算に左右されない高品質な採用を目標とする、ウォンテッドリー株式会社が提供するサービス「Wantedly」。ユーザー数は350万人と多く、さまざまな人材が登録していることが特徴です。
月額5万円~(要問合せ)と、リーズナブルな金額から運用できることが魅力。詳細な料金形態に関しては、資料をダウンロードすることがおすすめです。
スカウト返信率も20%と決して低くなく、転職に意欲的な人材が登録しているのかもしれません。
OfferBox
運営会社 | 株式会社i-plug |
---|---|
ユーザー | 23.7万人以上/学生メイン |
料金 | 早期定額型or成功報酬型 1名採用38万円~※公式HP要確認 |
特徴 | オファー開封率は89%!自社を知ってもらえる機会が増える |
学生がメインに登録している、株式会社i-plugが提供するサービス「OfferBox」。新卒のスカウト採用に特化していること、料金形態が早期定額型と成功報酬型の2種類ある事が特徴です。
オファー開封率は89%と決して低くなく、就職に対して意欲的なユーザーが登録しているといえるでしょう。
魅力的なスカウトメールを送ることができれば、良い結果に繋がるかもしれません。
運営会社 | リンクトイン・ジャパン株式会社 |
ユーザー数 | 300万人程度※アクティブユーザーの推測値 |
料金 | 要問合せ |
特徴 | 世界中の優秀な人材に直接アプローチが可能! |
「LinkedIn」は世界最大級のプロフェッショナルネットワークで、世界中に8億5,000万人を超える登録メンバーがいるとされています。2003年5月5日に正式にサービスが開始され、2023年現在も多くのユーザーが利用しています。
アクティブユーザーの推測値を見るに、他のサービスと遜色ありません。
世界中の優秀な人材に直接アプローチをしたいなら、チェックして損はないでしょう。
スカウト型採用サービスを選ぶポイント3つ
スカウト型サービスを選ぶポイントを3つまとめました。
自社が求める人材・採用戦略の明確化
自社が求める人材の明確化、採用戦略の明確化をしておきましょう。軸となる部分が曖昧だと、より良い採用ができません。
また自社が求める人材を明確化する際は、各条件に優先順位も付けておくことがおすすめです。全ての条件に一致する求職者は、基本的に見つかりません。どの条件を優先するのかをあらかじめ決めておくことで、スムーズに採用が可能になります。
無理のないコストで採用が可能かを検討する
採用期間はどの程度か、その期間無理なく費用を捻出できるか、見合った効果が期待できるのかはきちんと検討することが必要不可欠です。
利用するサービスによってコストが大きく変化するのはもちろん、同じサービスの中でもプランによって大きく費用が変わります。
自社とマッチしたサービスを利用する
スカウト型採用代行サービスを利用する際は、サービスの強みを理解する必要があります。
エンジニア、営業職、WEBデザイナー、クリエイティブなど、職種に特化しているサービスもあります。また「中途採用特化」「新卒特化」「若手優秀層(高学歴)」など、あらゆる強みを持つサービスがあることを覚えておきましょう。
自社にマッチした人材はどのようなサイトにいるのか、よく検討することがおすすめです。
スカウト型採用を成功させるポイント
スカウト型の採用を成功させるためには、以下の2点がポイントとなります。
詳しく解説します!
ターゲット像を明確に設定する
やみくもに数多くのスカウトメールを送っても、なかなか採用には至らない場合が多いです。初めの段階で、自社が求める人材がどのようなものなのかを見つめ直し、スカウトをするターゲットを設定しましょう。
ターゲットを決めたら、どのような媒体でスカウトをするのが良いかについても考える必要があります。ターゲットに近い属性の登録者が多い媒体を利用すると良いでしょう。
スカウトメールの質にこだわる
当然、スカウトメールの質も採用率を高めるためには非常に重要です。決定したターゲットに刺さりやすい魅力的な件名・本文にする必要があります。なお、自社でスカウトメールの文面を作成するのが難しい場合は、ダイレクトリクルーティングサービスを活用するのも手段のひとつです。
スカウトメールは内容だけでなく、送信する時間帯も採用率に影響すると言われています。昼過ぎや夕方の時間帯が比較的閲覧されやすいため、意識してみましょう。
なお、以下の記事では、スカウトメールを成功させるポイントを10個まとめましたのでご覧ください。
スカウト型採用で自社にマッチした優秀な人材を確保しよう
スカウト型採用は近年注目されている採用方法で、自社にマッチした優秀な人材をピンポイントで採用できることが特徴です。従来の採用方法とは違い、採用コストが抑えられる傾向にあるのもメリットのひとつです。
労働人口が減少傾向にあり、今後も減少していくことが予想されます。今から対策をすることで、より会社を長く繁栄させられるでしょう。
本記事を参考に、スカウト型採用でより質の高い人材の確保をしていきましょう。
「スカウト型採用に割くリソースが社内にない…!」
「スカウト型採用のノウハウがなくて、結果が出ない。」