海外を中心にLinkedIn(リンクトイン)の登録者数は増えており、日本でも活用する企業が増加傾向にあります。LINEヤフー株式会社やオムロン株式会社など、有名企業もLinkedIn(リンクトイン)の導入を行っているのが現状です。
LinkedIn(リンクトイン)は気軽に企業情報を発信できる反面、スカウトに関しては慎重に行わなければいけません。
LinkedIn(リンクトイン)のユーザーは、転職意欲が必ずしも高いとは限らないためです。
本記事ではLinkedIn(リンクトイン)を使用したスカウトの方法、成功率の上げ方、コツを徹底的に紹介します。
京都大学卒業後、株式会社リンクアンドモチベーションにて大企業を中心とした採用戦略の策定/実行に従事。現在はサクルートにて様々な企業のダイレクトリクルーティングを支援。
LinkedIn(リンクトイン)とは
LinkedIn(リンクトイン)は、2003年に起業家であるリード・ホフマンが創業したビジネス特化型SNSです。2023年時点で登録者は10億人を超え、日本人の利用者は約200万人といわれています。
海外においては転職市場の4割を支配しているともいわれており、それを活用する日本企業が増加傾向にあります。
しかしLinkedIn(リンクトイン)はあくまでもビジネス特化型のSNSであり、転職サイトではありません。つまり、登録者全員が転職意欲が高いとは限らないため、その点においては注意が必要です。
リクルーターライセンスを購入することで、LinkedIn(リンクトイン)に登録している全てのユーザーにスカウトを送信できるようになります。まずはLinkedIn(リンクトイン)のスカウト機能の概要を見ていきましょう。
LinkedIn(リンクトイン)を活用してスカウトを行うメリット
LinkedIn(リンクトイン)ならではのメリットは、SNSとして活用することで多くの繋がりを得られるところにあります。フォローしてもらい情報を見てもらうことで、長期的な関係による人材プールの構築が可能です。
「今は転職ができないが将来的に転職を検討している」程度のユーザーにフォローしてもらい続ければ、将来の採用にも繋がるでしょう。その段階で自社のアプローチができれば、採用に繋がります。
なおLinkedIn(リンクトイン)は、候補者の一元管理が可能です。
LinkedIn(リンクトイン)アカウント所持者はもちろん、所有していない人もまとめて管理できることが特徴。仮想のアカウントを作成し管理ができるので、イベント等や名刺交換で知り合ったLinkedIn(リンクトイン)アカウント身所持者もまとめて管理ができます。
その他のメリットとしては、転職潜在層へのアピールができる、直接的なアプローチが可能となる、コスト削減などダイレクトリクルーティングと同程度のメリットが得られます。
LinkedIn(リンクトイン)を活用する有名企業の事例9選
企業名 | LinkedIn ページ |
---|---|
LINEヤフー株式会社 オフィシャルHP オフィシャルX(Twitter) | LinkedIn|企業ページを見る |
株式会社メルカリ オフィシャルHP オフィシャルX(Twitter) | LinkedIn|企業ページを見る |
アンカー・ジャパン株式会社 オフィシャルHP オフィシャルX(Twitter) | LinkedIn|企業ページを見る |
freee株式会社 オフィシャルHP オフィシャルX(Twitter) | LinkedIn|企業ページを見る |
オムロン株式会社 オフィシャルHP オフィシャルX(Twitter) | LinkedIn|企業ページを見る |
Microsoft オフィシャルHP オフィシャルX(Twitter) | LinkedIn|企業ページを見る |
Amazon オフィシャルHP オフィシャルX(Twitter)※JAPAN | LinkedIn|企業ページを見る |
Apple オフィシャルHP オフィシャルX(Twitter) | LinkedIn|企業ページを見る |
Google オフィシャルHP オフィシャルX(Twitter) | LinkedIn|企業ページを見る |
LinkedIn(リンクトイン)を活用する有名企業の、LinkedIn企業ページをまとめました。
オフィシャルHPやオフィシャルSNSで発信している内容とどのような相違があるのか、自分の目で確かめてみることがおすすめです。発信する情報の内容を各媒体で分けることで、転職者の目にとまりやすくなります。
転職を検討している層がどこにいるのか、どのような情報を求めているのかを考えることで、よりスカウトの成功率が高まるでしょう。
実際の使用感・企業の口コミ・サービスの特徴や詳細に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
LinkedIn(リンクトイン)でのスカウトの流れとポイント
LinkedIn(リンクトイン)を活用したスカウトの流れと、各フェーズのポイントを解説します。
SNS的な活用を求められるLinkedIn(リンクトイン)は転職サイトとは違う特色を持っており、ノウハウや知識がなければ成果は得られません。ビジネス特化型SNSならではのポイントを知ることで、より良い採用が可能となるでしょう。
スカウトを行う流れ
LinkedIn(リンクトイン)を利用したスカウト方法の流れを以下にまとめました。
LinkedIn(リンクトイン)でリクルーターアカウントを作成し以下の権利を手に入れる
- LinkedIn(リンクトイン)の人材データベースへのアクセス権
- 検索結果を閲覧し気になるユーザーにスカウトメールを送信する権利
- スカウト候補者の一元管理や分析をするツールを利用する権利
人材データベースにアクセスし自社の理想とする条件を絞り込み検索をかける
候補者の転職意欲が最も高い時期にスカウトメールを送ることで成功率が上がる
スカウトの選考状の管理を行う
ユーザーのステータスを確認しスカウトメールを送る時期を考える
またLinkedIn(リンクトイン)のリクルーターアカウントは、スカウト機能の他に求人掲載機能があります。
求人情報を作成することで、求人要件に適合したユーザーのタイムラインに求人情報が掲載されるのがメリットです。応募者を増やしたい場合は、求人掲載機能の活用も検討しましょう。
スカウト対象者と良好な関係を築く
LinkedIn(リンクトイン)を活用するメリットは、長期的な関係構築による人材プールの確立です。焦らずスカウト対象者と良好な関係を築くことで、将来的に良い結果が期待できます。
上手くスカウトができれば、応募に繋がるケースもあるでしょう。しかし強引な勧誘を行うのは、正直おすすめできません。
スカウト対象者の転職意欲を予測し、転職意欲が低いユーザーには「自社を知ってもらう」ということを目標としましょう。「まずは知り合いになる」「事業に興味を持ってもらう」「軽くお茶をしましょう」など、フラットな関係を築くことを重視します。
転職意欲が高ければ、さらに踏み込んだアプローチも視野に入れていきましょう。
スカウト対象者が自社で働くメリット・デメリットを伝える
LinkedIn(リンクトイン) を使用する採用担当社と繋がるメリットと、転職した場合のメリットを伝えましょう。自社に転職した場合、スカウト対象者の現在の職と違う部分は何かを伝えることで転職意欲を高められます。
「フレキシブルな働き方ができます」「新規事業の立ち上げで、××のポジションを探しています」「現職のスキルを活かしませんか」など、スカウト対象者のニーズに合う自社の概要、事業内容、社風等をアピールしましょう。
また転職をしなくても、自社の採用担当者と繋がっておくことでどのようなメリットがあるのかを伝えることも重要です。「もし今後転職を考えたとき、弊社の枠が空いていればまたお話ししたいですね」と伝えておくことで、将来的に優秀な人材が自社を検討してくれるかもしれません。
スカウト対象者が転職潜在層の場合は募集要項等を送らない
スカウト対象者の転職意欲が低い場合は、募集要項や採用ポジションの詳細などを送らないようにしましょう。転職意欲が低いユーザーは、求人情報のような内容に対して良い印象を持たない傾向にあります。
特に関係が浅い場合は、「興味があればご一読ください」の文章もつけないほうが良いでしょう。
まずは「自社を知ってもらう」「興味を持ってもらう」ことを目標に、コツコツと関係を築く必要があります。
ネガティブワードの使用は極力控える
LinkedIn(リンクトイン) に限らず、スカウトをする際は以下のようなワードがネガティブワードとされています。スカウトは特別感を演出することで成功率が上がるため、使用する言葉には細心の注意を払いましょう。
- 大量採用
- 急募
- 学歴不問
- 社内イベント多数
- 誰にでもできる仕事
- 飲み会多数
会社都合のフレーズや、誰にでもできる簡単な仕事といったワードは控えましょう。
LinkedIn(リンクトイン)で使えるスカウトの例文
実際にLinkedIn(リンクトイン)のスカウトで使える例文を、いくつかのシチュエーションに分けて紹介します。汎用的に使えるものから、知名度に心配がある企業向け、転職潜在層/顕在層向けなどの例文をまとめました。
自社の特性に合わせてカスタマイズして、ユーザーの興味を惹く文章を考えましょう。
【誰でも使える】スカウトの例文
【件名】
【特別案内】限定案内![スカウト対象者名]様へ、TA(採用担当)ポジションのご紹介
【本文】
[スカウト対象者名]様
初めまして、[会社名]の××部署[送信者名]と申します。
LinkedInにて[スカウト対象者名]様のご経歴を拝見し、ぜひとも弊社にてご活躍いただきたいと考えメッセージをお送りいたしました。
[スカウト対象者名]様の採用難度の高いポジションの採用経験を、弊社で活かしてはいただけないでしょうか。
現在、弊社ではダイレクトリクルーティングにおける採用のノウハウがなく、人材紹介依存から脱却できていない課題の解決に向けて取り組みを行っています。
そこで、[スカウト対象者名]様のようなご経歴を持つ方に、ダイレクトリクルーティングに関する業務の牽引・起案をお願いしたいと考えております。
ぜひ一度、オンラインのカジュアル面談(15~20分程度)で構いませんのでお話できませんでしょうか?
[スカウト対象者名]様からのお返事を、心よりお待ちしております。
【署名】
汎用的に使える、スカウトメールの例文です。
LinkedIn(リンクトイン)のユーザーにスカウトを送る際は、年収や社内制度など求人要項は記載しないようにしましょう。転職顕在層ではないユーザーも少なくなく、そのようなユーザーに対しては裏目に出るからです。
【知名度に心配がある企業向け】スカウトの例文
【件名】
[スカウト対象者名]様への特別なご案内|TA(採用担当)ポジションのご紹介
【本文】
[スカウト対象者名]様
初めまして、[会社名]の××部署[送信者名]と申します。
LinkedInにて[スカウト対象者名]様のご経歴を拝見し、ぜひ弊社でご活躍戴けないかと思いメッセージをお送りいたしました。
現在、弊社ではAIとオープンデータを活用した人材データベースの構築と、採用支援サポートの事業をメインに行っております。××年から●●といったミッションを掲げて取り組み始め、現在は資金調達シリーズCに突入した段階です。
まだまだスタートアップしたばかりではありますが、今後は大規模な事業拡大を行う予定です。
つきましては、その段階で[スカウト対象者名]様のお力添えをいただけないかと考えております。[スカウト対象者名]様の採用難度の高いポジションの採用成功の経験を、弊社で活かしていただけないでしょうか?
まずはオンラインカジュアル面談(15~20分ほど)で構いませんので、お時間をいただけませんか。
[スカウト対象者名]様のご返信をお待ちしております。
【署名】
知名度に心配が残る企業は、自社の事業内容や従業員規模、理念など企業概要を簡単に記載しましょう。またスタートアップやベンチャーの場合は、転職を迷うユーザーを安心させるための情報があると安心です。
黒字化しているかどうか、軌道に乗っているかどうか、資金調達について、業界自体の展望についてなどを記載します。またアピールできる福利厚生などがあれば、活用しましょう。
【気軽さを求める企業向け】スカウトの例文
【件名】
[会社名]|[スカウト対象者名]様、初めまして!プロフィールを拝見しご連絡いたしました。
【本文】
[スカウト対象者名]様
初めまして、[会社名]の××部署[送信者名]と申します。
突然のご連絡、失礼いたします。
先ほど、[スカウト対象者名]様のプロフィールを拝見いたしました。採用における高難易度の高い採用成功事例にとても興味を惹かれ、ご連絡した次第です。
現在、弊社では、××分野の事業プロジェクトが開始しており本格的に稼働し始めた段階です。しかし人員の補充が必要となっております。もしよろしければ、[スカウト対象者名]様のご経験を生かしていただけないでしょうか?
簡単でラフなカジュアル面談(オンライン15分ほど)でも構いませんので、ぜひ一度弊社のビジョンや事業の展望についてや、[スカウト対象者名]様のご経歴について詳しくお話ししたいと考えております。
(お近くのレンタルルームや本社などでも構いません!)
[スカウト対象者名]様からのお返事、心よりお待ちしております!
【署名】
スカウトメールではなく、チャットを送るくらいの気軽さで送信するのもひとつの手段です。
企業風土にもよりますが、「!」などを活用することで関わりやすさを演出できます。業界や転職層の属性によっては、このくらいの軽さのほうが返信率が上がることもあります。
最初のメールは長くなるかもしれませんが、やり取りをしていくなかでだんだんと会話形式にしていきましょう。
【転職顕在層宛て】スカウトの例文
【件名】
[会社名]|[スカウト対象者名]様のご経歴を拝見いたしました
【本文】
[スカウト対象者名]様
初めまして、[会社名]の××部署[送信者名]と申します。
弊社は、●●といった理念を掲げ、AIとオープンデータを活用した人材データベースの構築と採用支援サポートの事業を展開している会社です。
まだスタートアップの段階ではありますが、資金調達シリーズCを迎えました。事業のさらなる拡大にむけて、[スカウト対象者名]様の採用担当の経験を活かし、TAポジションでご活躍いただけないかと思いご連絡いたしました。
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>>募集職種
TAポジション
>>年収例
基本給:〇〇円
700万円/●歳※部署・ポジション名・その他備考
800万円/●歳※部署・ポジション名・その他備考
850万円/●歳※部署・ポジション名・その他備考
>>勤務地
東京品川区オフィス
住所:東京都品川区東品川〇丁目××
>>※休日・制度・残業時間など自社のアピールになる項目を記載
>>弊社採用オフィシャルページ
http~……
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少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひカジュアル面談等の機会を設けたいと考えております。
オンライン(15分ほど~)、もしくは、本社にて面談をさせていただければと考えております。[スカウト対象者名]様からのご連絡、心よりお待ちしております。
【署名】
転職顕在層に向けては、募集要項についても記載します。自社の採用公式HPがある場合は、URLの記載もしくは「企業サイトをご覧ください」と案内を入れましょう。
自社の強みがある場合は、メッセージ内に記載することがおすすめです。ただしあまりにも長すぎると読まれない可能性があるため、記載する項目は5項目以内にすると良いでしょう。
LinkedIn(リンクトイン)でのスカウト成功率を高めるコツ
LinkedIn(リンクトイン)でスカウトを行う際に気をつけるべきポイントや、コツについてまとめました。
これらのポイントを抑えておくだけで、スカウトの成功率を高められるでしょう。
LinkedInの企業紹介(自社プロフィール)を充実させる
「LinkedIn(リンクトイン)を活用する有名企業の事例9選」を参考に、LinkedInの企業紹介ページを充実させておくことが重要です。いくら有名な企業でもページが充実していなければ、応募者の意欲は高まりません。
「この会社は怪しい」と思われれば、スカウトメールを送る意味が薄まります。
スカウト前に内容を充実させることで、興味を持ってもらえます。事業内容や企業理念はもちろん、企業風土などユーザーが気になるであろう情報を網羅的に掲載しておきましょう。
LinkedIn(リンクトイン)には社員の日常を掲載できるカルチャーページなど、ビジネス寄りSNSならではの機能もあります。掲載できる情報はなるべく網羅しておくことがおすすめです。
LinkedInの求人ページを活用する
応募者をより多く募りたい企業、知名度を上げたい企業はLinkedInの求人ページを活用しましょう。
求人情報を掲載しておくと、転職意欲が高いユーザーに見てもらいやすくなります。長期的な人材プールを構築するよりも、なるべく早く人材を補充したいと考えている企業は求人ページを使っておくことがおすすめです。
自社で働くメリット、他社との違いを掲載することでより関心を持ってもらえます。
候補者が行うネクストアクションへのハードルを下げる
スカウトメールを送った後は候補者のアクション待ちになります。このアクションのハードルが高いと、採用に繋がりません。
候補者に行ってもらうネクストアクションは、なるべく簡単なものにし心理的なハードルを下げることがおすすめです。例えば30分未満のWebカジュアル面談であれば、アクションは起こしやすいといえます。
なるべくアクションへのハードルを下げることで、関係をスタートさせやすくなるでしょう。
スカウトメールを上限まで送る
自社が求める人材をピックアップしスカウトメールを上限まで送ることで、成功率が高まります。出会いの数を多くするほど、意外な良い出会いが期待できるためです。
最初はなるべく多くのスカウトメールを送信しPDCAを回していくことで、だんだんと良い結果になるでしょう。
ただし、数を多くするほど採用担当者の負担が大きくなります。業務との兼ね合いを見ながら、可能な範囲で行うことが重要です。
スカウトメールの質も大事になるため、以下の記事も参考にしてみてください。
LinkedIn(リンクトイン)のスカウト機能を活用しよう
LinkedIn(リンクトイン)を上手く活用することで、スカウトによる優秀な人材の採用が可能となります。
しかし、LinkedIn(リンクトイン)ユーザーは転職意欲が必ずしも高いとは限りません。ユーザーのステータスや投稿を見て、現在の転職意欲の程度をしっかりと考えることが重要です。
ユーザーファーストで考え、スカウトを送ることで、スカウト成功率はグッと高まるでしょう。有名企業の事例も活用しながら、LinkedIn(リンクトイン)でスカウトを行ってみてくださいね。